2025/01/17
導入実績
分野 | 森林 |
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プロジェクト名 | ネパール国持続的森林管理を通じた気候変動適応策プロジェクト |
期間 | 2022年10月~2027年9月 |
実施スキーム | 技術協力プロジェクト(JICA) |
ネパールはヒマラヤ山脈に位置し、平野部から山岳地帯まで起伏に富んだ地形を有しています。人口の約4割が農村地域に居住し、家畜飼料や薪炭などの生活物資を森林に依存して生活しています。森林被覆率は、過剰な森林資源利用や土地利用の変更等により、1994年には29%まで下がりましたが、共有林を主体とした森林保全・管理活動によって、2020年には約41%まで改善しました。しかし、近年出稼ぎによる現金収入の創出や若者の都市部への流出等により共有林の利用や管理の担い手が変化してきており、これに伴い森林の多面的機能の発揮が困難な状況にあります。他方、気候変動の影響により、外来植物種の侵入、土砂災害や森林火災の激化、および乾期の水不足や農作物の収量低下等が顕著になってきています。このため持続的な森林管理への取り組みを通じた森林生態系サービスおよび住民のレジリエンス強化が求められています。
本事業は、こうした状況に対処するため、持続的森林管理を通じた気候変動適応策の普及を所管する政府機関の組織的能力が、国と州レベルで強化されることを目的としています。森林セクターにおける気候変動適応策の推進に資する政策ツールの策定や、政府機関職員や地域住民の気候変動適応策にかかる知識・技術の向上、現場での森林生態系を活用した適応策の実践を通じたグッドプラクティスと教訓の抽出に取り組みます。
例えば州レベルの活動では、ガンダキ州森林環境省とともに、同州の3地域で気候動適応策デモンストレーション活動(以下、デモ活動)を実施し、政府職員及び地域住民の能力強化や気候変動適応策モデルの検討を進めています。デモ活動は、空間情報を活用しながら、ジェンダー平等と社会的包摂の視点を踏まえつつ住民参加型で計画・実施しています。具体的には、侵略的外来植物制御を通じた森林管理や森林火災対策、地滑りリスク低減のための斜面での再造林、溜池の再生、森林資源を活用した生計向上活動などを実施しています。
(写真上:対象地域の共有林内における防火帯設置実習の様子(©国際協力機構))
(写真下:対象地域の共有林利用者グループへデモ活動の実施手順を説明している様子(©国際協力機構))
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