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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.225 2024CDP質問書の狙い・方向性

2024/06/25

コラム

2024年CDP質問書の狙いと方向性

先月、2024のCDP質問書が公開されましたが、今月には回答システムがオープンとなり、またスコアリング基準が公開され、9月18日の回答期限に向けていよいよ準備を本格化させている方も多いのではないでしょうか。

先月の環境通信でご紹介した通り、今年のCDPには大きな変更点があります。
今回は変更の目的・狙いなどの概念的な部分にフォーカスを当てて、見ていきます。少々抽象的な話にはなりますが、回答作成や取組を検討する上での一助になれば幸いです。

高まるCDPの役割と存在感
昨年は世界で23,000を超える企業がCDP質問書に回答しました。2021年では13,000超、2022年では18,000超であり、CDPを通じた情報開示が年々拡大していることが良く分かります。
日本国内においても同様の傾向があり、2023では東証プライム市場の64%、TOPIX500の90%、Nikkei225の97%が回答しています。

世界の中でも存在感を高めるCDPですが、CDPが担う役割も飛躍的に拡大しています。2024年のKey changesとして、以下のことが掲げられました。

“ CDP’s questionnaires evolve annually to push corporate ambition further, and support companies and financial markets to transition in line with a 1.5°C, nature-positive world.”
「CDP質問書は、企業の野心をさらに後押しし、また企業や金融市場による1.5℃やネイチャーポジティブな世界への移行を支援するために毎年進化しています。」

CDP質問書では、企業が気候と自然を守ることを戦略の中心に据えること、および環境問題の全領域にわたってより効果的な行動をとることを求めており、良いスコアを獲得するためにはより本質的な取組が必要になると考えられます。

「プラネタリー・バウンダリー」基点でのCDPの要請
プラネタリー・バウンダリーとは、「地球環境に人間の影響が加わっても、元の状態に戻り、地球環境が安定した状態を保てる限界の範囲」のことを指します。
気候変動、土地利用、生物多様性、水資源、化学物質といった9項目に渡って設定されており、2024年質問書は、このプラネタリー・バウンダリーを中心に再構築されています。
1.5℃目標の達成は、自然への取組なしには達成できない。
昨年のCOP28においても、効果的な気候変動対策のためには、温室効果ガスの吸収源・貯蔵庫として機能する自然と生態系を保護・保全・回復し、持続可能な形で利用することが重要であることが強調されました。
今年のCDP質問書の統合の目的は、単に回答の手間を減らすことにあるのではなく、気候変動と自然に関する課題をつなげて考え、取り組むことを促すことにあります。

CDPセミナー資料

(出所)CDPセミナー資料「CDPの活動と企業への期待」2023年10月25日 より

前回もご紹介した通り、当社では以下のようなご支援をおこなっています。

 ・CDP質問書の変更点に関する説明会の開催
 ・CDP回答を通じて見えた課題に対する取組の整理・検討・取組支援
 ・気候変動・水セキュリティ・フォレストの3分野すべてにわたる回答支援

CDP質問書は毎年進化していることもあり、質問内容が詳細化・深化しているため、回答作業が難航するケースもあるかと思います。当社には、気候変動や水、フォレストのCDP各分野に精通する専門の担当者がおりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

担当は、法人営業部 第6営業グループ 新入社員の金松でした。