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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.214 土壌・地下水汚染に関する業界トレンドー有機フッ素化合物(PFAS)

2023/06/25

コラム

土壌・地下水汚染に関する業界トレンドー有機フッ素化合物(PFAS)

今月は、6月15日~16日に開催されました「第28回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会」における発表内容のトレンドについてお伝えします。

この研究集会は、地下水・土壌汚染の調査や浄化対策、リスク評価や分析方法等に関する国内最大規模の研究集会であり、地下水・土壌汚染分野の技術向上と交流に寄与する場として、年1回開催されています。

第28回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会

28回目となる今回は北海道函館市で開催され、関係各社や大学・研究機関等により、全体で116件(企業プレゼン7件含む)の研究・事例発表が行われました。

中でも、PFOS・PFOAに代表される有機フッ素化合物(PFAS)に関する発表は15件あり、ポスター会場では多くの参加者により活発な議論・意見交換が行われている様子が見受けられました。

現在、日本国内においてPFASの土壌・地下水汚染に関する基準値等は定められておりませんが、諸外国の規制動向に伴い、2020年5月には公共用水域及び地下水における人の健康の保護に関する要監視項目へ追加され、暫定的な目標値として「指針値(暫定)」が定められました(PFOS及びPFOAの合計値として50 ng/L以下)(※1)。
また、2022年12月にはPFOSとPFOAが水質汚濁防止法の指定物質に定められ、事故時の措置及び都道府県知事への届出が義務付けられました(※2)。

直近では環境省により、
6月15日:「PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第3回)」
6月16日:「PFOS・PFOA に係る水質の目標値等の専門家会議(第2回)」
が開催されており、PFOS・PFOA以外のPFASの調査対象物質の優先順位付けの考え方や、土壌におけるPFOS・PFOA・PFHxSの測定方法について、検討状況や今後の対応の方向性が示されています(※3、4)。

今回の研究集会では、PFASの土壌への吸着・脱着特性の評価や、地下水からの除去を目的とした吸着材の性能試験に関する報告、PFAS分析法の確立に向けた検討事例が多く発表されており、今後の規制強化を見据えた動きと考えられます。

当社においても、PFOS・PFOA汚染地下水の処理に関する技術開発に取り組んでおり、「粉末活性炭添着プリーツフィルターによるPFOA/PFOS/PFHxS汚染地下水処理に関わる基礎検討」としてその成果を発表しました。

また、弊社のPFASに対する浄化技術開発については、2023年6月7日付環境新聞においても紹介頂きました。

その他、近年継続して発表がなされているものとして、重金属汚染に関する発表が例年同様多く見られたほか、塩素化エチレン類や1,4-ジオキサン、油汚染等へのバイオレメディエーションの適用に関するものが14件、自然由来重金属汚染土壌の吸着層工法に関するものが5件、土壌汚染情報管理のデジタル化に関するものが4件あり、より効率的で環境に低負荷な調査・浄化工法への関心の高さがうかがえました。

本研究集会は来年も山形県山形市にて開催予定ですので、ご関心のある方は土壌・地下水汚染の最新動向を把握しに、ぜひ会場へお越しください。
弊社では引き続き、PFASによる地下水・土壌汚染の調査・対策に向けた技術開発を進めてまいります。

国際航業の地下水・土壌汚染調査・対策サービス

【参考:環境省Webサイト】
※1 2020年5月28日付 報道発表資料一覧「「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて」(第5次答申)について」
※2 2022年12月20日付 報道発表資料一覧「「水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令」 の閣議決定について」 
※3 PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第3回)議事次第・配付資料 
※4 PFOS・PFOA に係る水質の目標値等の専門家会議(第2回) 議事次第・配付資料 

担当は、防災環境事業部 環境リスク部 生越恵 でした。