2022/03/04
製品情報
本記事では、Mapboxが提供するMapbox Tiling Service(MTS)について紹介します。MTSとは、ベクタータイル作成~配信までを自動で行えるサービスであり、MTSを用いることで地理空間データを利用したリアルタイムデータ表示や、データ管理の運用工数を大幅に削減することができます。
Yahoo! Japanリアルタイム天気データは、MTSを利用している例の1つです。5分ごとに更新される日本のリアルタイム気象データを時系列で表示しています。
以下、Mapbox公式ページによる紹介文の引用です。
「MTS は地理空間データをベクタータイルに変換し、データの変化と共にマップを更新します。また地理的冗長性を保ち、高速かつ低遅延のキャッシュネットワークを提供して、あらゆる地域でのスケーリングを可能にします。」
「MTSとは、ベクタータイル作成~配信までを行えるサービス」と前述していますが、地理空間データを扱うアプリケーションのケースなどは、あまり一般的ではない点も多く、MTSが具体的にどの程度便利なものなのか、ピンとこない点もあるかと思います。
以下に、従来型のMTSを用いずにベクタータイルを作成~配信まで行っていた作業ステップを示します。
1. 地理空間データをベクタータイル(※1)変換向けフォーマットに変換する
2. 作成するベクタータイル変換する設定値などの準備をする(i.e. オプションの設定)
3. 地理空間データをベクタータイルに変換する
4. 変換したベクタータイルをサーバーに保管する
5. アプリケーションがベクタータイルを呼び出せるように、サーバーのIF(※2)を作成する
6. アプリケーションからベクタータイルを呼び出して利用する
3.では、地理空間データや作成するベクタータイルの大きさ(範囲など)次第で、コンピューティングのリソースを必要としますし、4.及び5.で利用しているサーバーにはアプリケーションの非機能要件次第では、冗長性の確保などを意識して運用をする必要が求められます。
1. 地理空間データをMTS向けフォーマットに変換する
2. 変換済み地理空間データをMapboxのデータアップロード向けエンドポイントへ登録する
3. 地理空間データをベクタータイルに変換する設定値などの準備をする
4. Mapboxへアップロードしたデータを設定値を用いて、ベクタータイルを作成する
5. 作成したベクタータイルを公開する
6. アプリケーションからベクタータイルを呼び出して利用する
MTSを用いたパターンでは、2.以降のステップにおいてMapboxのリソースを利用するものとなり、従来型で触れていた運用面でのリスクを軽減することができます。
また、工夫次第で、1. ~6.までのすべてのステップを自動化することも実装次第では可能になり、リアルタイムのデータ変換~配信までを実現することができます。
※1 あらかじめ作成済みのマップを、ベクター形式で、かつタイル状に区切って用意したデータ
※2 Interfaceの略。 IT業界においては、プログラム間でデータをやり取りするために定められた仕様やAPIのことを指す。
MTSでは、MapboxのMTSサーバー環境へデータをベクタータイルに変換する、配信するというサービスの性質上、それぞれに利用料金が設定されています。
MTSのPricingページを確認すると、それぞれの利用料金は以下のSKU名称で記載されています。
・MTS tileset processing(ベクタータイルに変換、公開)
・MTS tileset hosting(ベクタータイルの保管)
それぞれのSKUには、月額あたりの無償枠が存在し、小規模なサービスではこの無償枠を利用して、MTS導入へのコスト面でのハードルを下げることができます。
また、それぞれのSKUには、作成するベクタータイルのズームレベルに応じて、無償枠の金額単価が変わります。作成できるズームレベルは0~22まであります。
ベクタータイルのズームレベルイメージは以下をご確認ください。
ズームレベル6のイメージ
ズームレベル11のイメージ
ズームレベル15のイメージ
MTSを本番環境へ導入する際の注意点として、製品がパブリックベータであることが挙げられます。
パブリックベータ版は、上記のベクタータイルを作成するまでのステップや具体的なAPIのエンドポイントなども変更の可能性があります。また、製品としてのSLAも提供がない点をご注意ください。
弊社としてはMapboxの発表を引き続きウォッチするとともに、GAになったタイミングでこちらのブログなどでご案内したいと思います。
Mapbox Tiling serviceの詳細はこちらのドキュメンテーションをご覧ください。
Mapboxが提供するMTSのご紹介、いかがでしたでしょうか?
今回は「地理空間データをベクタータイル化して配信する」といった技術にフォーカスした記事をご紹介いたしました。
国際航業では、みなさまの眠っているデータに地理空間情報を付与することで価値の向上、利活用を行うことや、地図と関連したアプリケーション開発を行うことを得意としています。地理空間と関連したソリューションをお探し、ご検討の方はお気軽にお問い合わせください。
国際航業はMapbox Japanパートナーです。
※Mapbox Japanホームページにて公開している記事(https://blog.mapbox.jp/n/n0a780fa40962?magazine_key=mc2bb60f42211)一部引用しています。マップボックス・ジャパンの許諾を得ております。
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