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屋内外位置情報 ブログ

実は手軽に得られるようになった位置情報 あなたの会社なら、どのように活用する?

2018/11/15

ホワイトペーパー

仕掛品の現在地と進捗を見える化する、工程管理支援の導入ケースも

高精度なのにコストは低め、そんな位置情報ソリューションを導入するとしたら、あなたの会社ではどのように活用するだろうか。ビジネスに応じたアイデア次第で、さまざまな効果を発揮させられるはずだ。最先端の測位ソリューションと、その活用例を紹介する。

「モノ」や「ヒト」の位置を知れば業務効率化や安全性向上などに役立つ

製造や物流など「モノ」を扱う現場においては、そのモノ自体の現在位置をいかに把握するかが課題となるケースがある。また、広い現場に多数の従業員が働く環境においては「ヒト」の現在位置をより正確に把握したいというニーズもある。

例えば、ある程度以上の大きさのモノを数多く扱っている事業所では、その製造や保管のために、敷地や建屋も非常に広大になりがちだ。その結果、モノに対し何らかの作業をする目的で従業員が移動するにも、相当な時間を要する。そもそも広いエリア内のモノの場所を人の目で把握することさえ、かなりの手間と時間を要する非効率な作業だ。もし何らかの方法で簡単に個々のモノの位置を簡単に把握できるようになれば、作業に伴う移動時間は短縮されるはずである。加えて、モノの配置をさらに工夫することなどによって、業務効率を大きく改善できることだろう。

ヒトの位置も簡単に把握できるようになれば、やはり同じく無駄な移動の削減などによる業務効率向上が期待できる。また事故対策や災害対策といった観点では、従業員の安否確認や避難誘導などに位置情報を活かすことで、より安全性を高めることに繋がる。

いずれにせよ、モノやヒトの位置情報を容易に把握できる仕組みがあれば、その活用次第でさまざまな効果が期待できるというわけだ。

汎用のBluetoothをベースに低コストで高い測位精度を実現したユニークな技術も

測位情報を取得できるようにするため、さまざまなテクノロジーが実用化されている。それぞれの測位手法は、コストや測位精度、測位頻度などの条件も異なっていて一長一短がある。そのため、ニーズや利用環境などに応じて使い分けたり組み合わせたりして用いられているのが現状だ。

例えば屋外なら、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム。GPSに代表される衛星測位システムの総称)が有名かつ有力な手法である。しかしGNSSも万能ではなく、当然ながら屋内では全く利用できないなど、いくつかの課題もある。

一方で、すでに確立されている無線通信技術を応用し、GNSSの盲点となる屋内を主にカバーする測位技術として実用化されてきた測位方式もある。対象エリアをカバーするように配置された基地局と、測位対象デバイスとの間で通信を行って位置を測定するというもので、主にWi-FiやBluetooth、UWB(Ultra Wide Band、超広帯域無線)などの無線技術を元にしたものだ。

これらの測位方式には、全体的に見て測位精度とコストが比例する傾向がある。Wi-FiやBluetoothはコストが低めで精度も低め、UWBは高精度でコストも高めとされている。ところが、その一般則から外れ、精度が高いのに比較的コストが低いという測位方式も存在している。その一つが、当社が日本において製品代理店であるフィンランドQuuppa Oy社が開発した「Quuppa Intelligent Locating System」(クーパ、以下Quuppa)だ。

Quuppaの測位技術における大きなポイントは、デバイスの汎用性が高いBluetooth Low Energy(BLE)通信技術を元にしつつ、基地局に独自の技術を投入して優れた測位精度を実現している点である。具体的には、電波が到達した角度を認識する、「AoA(Angle of Arrival)方式」により、一つの基地局だけでも平面上の位置を認識できるというもの。この技術により、0.1~1mという高い測位精度を、比較的低コストで実現することが可能になった。BLEベースの通信であることで、専用タグの他、スマートフォンにも対応しており、屋内外のどちらでも利用が可能だ。最高100ミリ秒の高速での測位に対応している点も大きな特徴だろう。

Quuppaは、「ロケーター」(基地局)と専用サーバのアルゴリズムを用い、BLEデバイスからの電波到達方向を2つの角度(左右方向および上下方向)で把握している。1つのロケーターだけで平面(2次元)的に対象の位置を認識することができる。同じデバイスからの電波を複数のロケーターが同時に受信すれば3次元測位も可能だ。

国内メーカーの工程管理支援に屋内外位置情報ソリューションを活用

Quuppaはすでに広く世界中のユーザー企業で使われており、さまざまな現場で多様なニーズに合わせ活用されている。日本でも本格的に活用し始めた企業がいる。

当社が手掛けた中では、特殊車両メーカーへの導入事例がある。仕掛かり中の製品にBLEタグを設置し、工場の天井に設置したQuuppaロケーターによって位置を把握して役立てている。製品サイズは大きく、受注生産で一つひとつの仕様が異なるものの外観は似ているという特徴がある。工程によって場所を変えながら作業が進められることもあって、個々の製品の現在位置を正確に把握しておかないと作業員の移動が無駄になってしまうなど業務効率に差し支えるのだ。

そこで、この課題を解消すべく当社のコンサルティングを受けてQuuppaを導入し、製品の位置情報を把握できるようにした。この仕組みは本格稼働したばかりだが、ヒトやモノの移動も含めた作業の効率化はもちろん、各工程の所要時間などを把握することでプロセスを改善するなどの効果が期待されている。将来的には、作業者の位置情報も取得し、動線の効率化を図るといった計画もある。

事例のメーカーでは、仕掛品の位置情報を工場の図に重ねてプロットする際、基幹系システムの工程情報を取り込んで予定の進捗とのズレを色で分かるようにしている。工場内サイネージディスプレイにも同じ画面を表示している。

屋内外位置情報ソリューション
国際航業のソフトウェア、要素技術を組み合わせてソリューションをご提案します。
物流現場での作業効率化/商業・小売施設での動線解析/医療・福祉施設でのリアルタイム位置把握/建設現場での作業効率化