English

MIRAIT ONE GROUP

Google Maps Platform ブログ

Google Maps Platform 新プロダクト-Photorealistic 3D Tiles-の紹介

2023/06/22

製品情報

■はじめに

みなさんは、今年の5月10日に行われたGoogle I/O 2023のセッションはチェックされましたでしょうか?
Google I/O は、Google製品に関する開発者向けカンファレンスであり、知名度もとても高いので、インターネット上に「Google I/O 2023の衝撃発表まとめてみた」といった趣旨の記事も多く目にすると思います。
Google Maps Platformのプレミアパートナーである弊社も、毎年Google I/Oで開催されるセッションは楽しみにしておりますし、私もいつかは現地の熱量を生で感じてみたい!なんて思っていたりします。
以下にGoogle公式で、イベント総括をYoutube上に公開したものを記載しますので、もし興味があれば10分程度ですのでウォッチしてみてはいかがでしょうか?
Google I/O ’23 in under 10 minutes

そんな筆者憧れのGoogle I/Oにおいて、今年はGoogle Maps Platform関連では以下のセッションが発表されました。
Announcing Photorealistic 3D Tiles and the Aerial View API to create immersive map experiences

本記事では、こちらのセッションで発表されている新プロダクト「Photorealistic 3D Tiles」について、実際のDemo画面と合わせて、概要を確認したいと思います。

■Photorealistic 3D Tilesとは?

Photorealistic 3D Tilesとは、Google公開ドキュメントから引用すると、
「フォトリアリスティックな 3D タイルは、OGC 3D Tiles 形式の Google の 3D 地理情報を含む地図タイルです。Google の 3D 地図は、独自の 3D タイル レンダラでレンダリングできます。また、オープンソース ライブラリを使用して 3D 地理空間を可視化することもできます。」
※引用: Photorealistic 3D Tiles overview | Google Maps Tile API
というプロダクトのようです。このままではやや機械的な翻訳ですので、本概要及び製品紹介の情報をもとに要点を以下にまとめます。

・Google製の3D地図データセットのプロダクトであること
・整備範囲はGoogle Earthで公開される3Dマップの範囲であり、これらのデータセットを独自のアプリケーションに実装できること
 ○参照: Google Earth3Dマップ範囲
  ■日本国内においては都心部は概ね網羅されている
  ■記事執筆時点(2023/06/01)では49カ国及び2500以上の都市が整備済み
・3Dモデルは写真テクスチャ付き(建物のファサード付き)モデルであること
・データ形式はOGC 3D Tilesと呼ばれるグローバルスタンダード形式を採用していること
・汎用形式で整備されているので、多くの3D地図データを表示するレンダリングライブラリと互換性があること

個人的な感想ですが、「ついに来たか!」といった印象を受けました。
Googleは従来まで、

・2Dデータのタイルセット(一般的に親しみ深いGoogleマップや、Maps JavaScript API経由で取得できる地図)
・2.5Dと呼ばれるような2D地図の建物データなどに斜め45°からの陰影表現を施して、擬似的に立体を見せたもの
・Street Viewデータタイルセット

など、非常に多くの空間的、地理的データセットをAPI形式でプロダクトとして提供していましたが、3Dデータについては現ラインナップとしては提供がありませんでした。
そのため従来までは、建物テクスチャ付き3D地図データを表示する場合は、日本国内においては国土交通省 Plateauデータなどを、国外では各国それぞれのデータソースを利用する必要がありました。
ここで、Photorealistic 3D Tilesが登場したことでより簡易に建物テクスチャ付きの3D地図データを扱うことができるようになりました。実装するアプリケーションは単一のデータソース(Photorealistic 3D Tiles)のみ参照することで、多くの地域をカバーすることができるのでよりシンプルな実装で表現できますし、データ更新などの運用も不要です。

■Demoアプリを触ってみる

ここでは、実際にGoogleから公開されているPhotorealistic 3D Tilesのデモサイトを確認しながら、類似製品であるPlateau viewとの違いを確認します。サンプルとして、東京タワーを正面から表示したキャプションは以下のとおりです。
参照: Photorealistic 3D Tiles デモサイト国土交通省 Plateau View App

Photorealistic 3D Tiles で俯瞰表示した東京タワー

Plateau View App で俯瞰表示した東京タワー

画角の若干の違いがあるものの、Photorealistic 3D Tilesで表示される建物モデル数は、Plateau Viewと目視ではほぼ変わらない数であるように見えます(筆者所感、視力1.5)。
また、Photorealistic 3D Tilesで表示される建物テクスチャは、Plateau Viewで表示されるテクスチャより明らかに明るく、俯瞰表示した際の建物の輪郭や色、植栽などがより把握できるように見えます(こちらも筆者所感)。
Plateauデータセットの名誉のために言及しますが、これは決してPlateauデータの精度が低いという訳ではありません。テクスチャ画像については元データである航空写真など撮影時の天候、撮影方法(斜め撮影/垂直撮影)、写真自体の彩度、明度の違い、データセットとしての合成など、多くの要素から生成されるものであるため、優劣をつけるものでは無く、それぞれの用途があった上で整備されているもの、と捉えています。

次に、俯瞰表示からズームインして、東京タワーの足元を確認します。

Photorealistic 3D Tiles で表示した東京タワー脚部

Plateau View App で表示した東京タワー脚部

Photorealistic 3D Tilesで表示された東京タワーの足元は、テクスチャ画像がベタ貼りであるのに対して、Plateau Viewで表示された足元は、3Dモデルとしてより細かい構造になっていることが分かります。Plateauデータの凄さを感じる例です。この例も、前例と同様にそれぞれの製品の用途の違いによる差分と言えるでしょう。

Photorealistic 3D Tilesの特徴として、データの表示速度についても最後に少し触れたいと思います。
前述した、Photorealistic 3D Tilesのデータ仕様はOGC 3D Tilesと呼ばれるもので、より一般的な名称はglTFと呼ばれるフォーマットになります。これは、Cecium JSやthree.jsなどのJavaScriptベースの3Dモデルレンダリングライブラリなどで軽量に扱うことのできるフォーマットであり、glTFを採用しているPhotorealistic 3D Tilesのデータ読み込み速度はとても高速です。Googleが公開している公式ドキュメントでは、Photorealistic 3D TilesをCecium JSで表示するための実装方法なども記載されています。
補足として、上記のデモサイトでは、正確にはgltf-binaryという形式でglTF形式のデータをバイナリ化することでより軽量にデータを読み込み、表示しているようです。従来の3D地図表示と比べて、とても高速に表示できるので、是非試してみてください。

■さいごに

少し長くなりましたが、Photorealistic 3D Tilesのご紹介はどうでしたでしょうか?
本記事では、概要紹介のみとなりましたが、具体的なアプリケーションへの実装方法も今後、記事にしたいと思います。なお、本プロダクトについては記事執筆時点(2023/06/01)ではpre-GA(一般提供前)のテスト段階のプロダクトとなります。一般提供前のプロダクトと機能では、Google Maps Platformプロダクト全体としてのサポートが制限されることなどがある場合があるので、本番製品利用をご検討される際にはご注意ください。

最近では、

・AR/VR、メタバース、位置ゲーといったコンシューマ向けキーワード
・デジタルツイン/ 3D都市モデル、3Dシュミレーションといったビジネス向けキーワード

など、多くの3D情報を有したベースマップを前提に活用された製品/ ソリューションを目にすることも多いかと思います。2D/ 3Dによる地図表現やシュミレーションを得意とする弊社も、こういったご相談を頂く機会は増えていると感じています。筆者個人の意見ですが、それらのご相談では3Dモデルに求める精度が明確となっていないケースが多く見られます。
高精細の建物モデルを用いたシュミレーションなどを行いたい場合には、Plateauデータなどが適切な選択肢ですが、データビジュアライゼーションのコンテキストとしての3D都市モデルといったユースケースなどにおいては、高精細かつ軽量に動作するPhotorealistic 3D Tilesも有力な選択肢の1つとして挙がるはずです。Googleが新たに発表した3D地図タイルセットを、是非チェックしてみてください。

国際航業はGoogle Maps Platformのプレミアパートナーです。

Posted by Google engineering team 吉田魁人

Google Maps Platform

Google Maps Platform
Google Maps Platform は、無償版では規約上利用できなった有料サイトや会員制サイト、イントラネット、独自アプリなどでも API を利用できる有償版のサービスです。
当社は Google の正規代理店として貴社と Google の間に入り、Google に変わってサポートを行います。データの調達、更新、配信するサーバー等は一切必要ありません。