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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.220 ハザードマップの確認で大丈夫? 出水期まで半年、水害リスクを把握し備えよう

2023/12/26

コラム

ハザードマップの確認で大丈夫? 出水期まで半年、水害リスクを把握し備えよう

2023年も終わりを迎えようとしています。水害とは少し縁遠い時期になりましたが、ちょうど半年後には2024年の出水期を迎えます。

まだ間に合う今だからこそ水害リスク対策をご検討頂こうということで
12/7(木)に
「来年の出水期まで残り半年  浸水リスクを理解して備える!」
というWebセミナーを開催しました。

私はこれまでに300件以上の水害リスクコンサルティング業務に従事しています。その知見を活かして「企業の水害リスクへの投資」や「効果的な浸水リスク把握方法」をテーマに開催しました。

今回は、セミナーで紹介した「ハザードマップを確認する」だけでは水害リスクの把握は難しいということと、弊社がご提供できる関連ソリューションを紹介いたします。

◆水害リスクの把握方法
Webセミナーで参加者を対象に「ぱっと思い浮かぶ水害リスク把握方法は何ですか?」というアンケートを行いました。以下に選択肢と結果を示します。

A:ハザードマップを確認する(97%)
B:シミュレーション評価を行う(3%)
C:専門業者に調査依頼をする(0%)
D:その他(0%)

私が担当している水害リスクコンサルティング業務は上記ではCに該当しますので、担当者としてはあまり直視したくないような結果ではありましたが…!
極めて多くの方が「ハザードマップを確認する」ことで水害リスクの把握を行おうと考えていることがこのアンケートからわかりました。

実はこれは今回のWebセミナー参加者に限ったことではく、Web検索で「○○ 水害 対策」などの単語で検索して表示されるサイトを見ますと、多くのサイトで「ハザードマップを確認する」ということがほぼ必ず記載されています。
また業務の都合上、関わる企業様に水害リスク対策の現状について聞く機会が多々ありますが、「ハザードマップを用いて~~している」ということを非常によく耳にします。

では、本当に「ハザードマップを確認する」ことで、水害リスクを正確に把握することができるのでしょうか?
ということでWebセミナーではハザードマップを確認することによる水害リスク把握についてのお話しをしました。

◆ハザードマップで水害リスク把握はできるか
「ハザードマップを確認する」ことで水害リスク把握を行うことが世の中的にはスタンダードになっていると感じるところですが、今回はハザードマップによる浸水リスク把握の課題・問題点について紹介しました。
いくつか抜粋して紹介します。

①市区町村によっては全ての解析条件がハザードマップで公表されていない
Webセミナーでは、某自治体の外水氾濫を事例として紹介しました。
某自治体では河川整備の基本となる「計画規模」の浸水想定はハザードマップとして公表されておらず、1年に発生する確率1/1000の「想定最大規模」のみ公表されていました。
いくつか抜粋して紹介します。

環境通信

②浸水深が幅を持った表記をされており、何mか把握できない
市区町村が公開するハザードマップでは、戸建て住宅の構造に当てはめて考えやすい閾値・色分けが記載されており、各地点において詳細に何mの浸水深となっているか分かりません。
ある事業所の浸水深が「0.5m~3.0m」ということがわかっても、0.5mと3.0mは浸水対策も大きく異なるため、水害リスクを正確に把握できているとは言えず、水害対策を検討することは非常に困難です。

環境通信_浸水深

水害ハザードマップ作成の手引き 国土交通省

国際航業が提供できるソリューション
これまでに培ってきた技術を活用して様々なソリューションを提供しております。

①浸水深の詳細評価
評価対象地点の周辺を含めて浸水深図を作成します。
浸水深の評価は0.01m(cm単位)、0.001m(mm単位)となることが多いです。
公表されている浸水想定ごとに浸水深図を作成することが可能で、建物別の浸水深グラフを作成することも可能となっています。※1
建物ごとに評価するため、より効果的でコスト削減につながる浸水対策が検討可能になります。

環境通信_浸水深の詳細評価

②現地調査
技術者が現地へ訪問し、事前に机上調査した浸水深評価結果と照らし合わせながら確認を行うことや、地図上ではわからなかった水害リスク(対象敷地の外部も含む)を確認します。
事業所等の担当者へのヒアリング調査を通して、ハード対策のみでなく水防訓練・有事対応のようなソフト対策についてもコンサルティングを行っております。

環境通信_現地調査

2024年も豪雨災害の発生が予想されます。
12月になり豪雨災害への世間の関心が薄い時期ではありますが、出水期まで残り6ヵ月となり、この時期に水害リスクをしっかり把握し効果的な浸水対策を行うことで、2024年の出水期に従業員の生命や会社の財産の保護、事業継続につながります。
貴社の浸水対策にお困りの際は是非一度ご相談下さい。

※1 浸水深データは自治体等から提供を受ける必要があるデータもあります。

担当は、防災ソリューション部 小宮賢祐でした。