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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.211 民間企業でも!? 地震大国・日本で必要不可欠な活断層に関するデータのご紹介

2023/03/25

コラム

民間企業でも!? 地震大国・日本で必要不可欠な活断層に関するデータのご紹介

先月、トルコ南東部のシリア国境付近でマグニチュード(M)7.8の地震が発生し、多数の被害が生じたことは皆様の記憶に新しいことと思います。

非常に痛ましい出来事でありますが、今月は未曽有の大災害であるトルコ・シリア地震をテーマとさせていただきます。この地震は、アナトリアプレートとアラビアプレートの境界に位置する東アナトリア断層で発生したと考えられています。トルコは4つのプレート境界が入り組んでいる地域で、従来から大地震が懸念されていました。

日本も4つのプレート境界が入り組んでいる地域であり、また、活断層が多い地域でもある事から、大規模な地震が発生する可能性が高いことは周知の事実です。そのため、民間企業においても地震対策が求められています。企業は、自社の従業員・顧客・事業所などの資産を守るために、施設の耐震補強を促進するなどの地震対策を重要な課題として捉える必要があります。しかし、活断層に対する備えは、「揺れ」だけでなく「ずれ」を含んでいるということを忘れてはなりません。地面がずれた場合は、建物への影響が大きくなり、そこにいる従業員が危険にさらされます。また、そこが震源になる(緊急地震速報が間に合わない)という観点でも注意が必要です。

活断層の位置に関する資料の活用
地震には、海溝型と内陸型(俗に、直下型と呼ばれています)の2種類があり、内陸型は地下の活断層が動くことで起こるものを指します。

活断層に関する情報を提供しているものとして、産業技術総合研究所の活断層データベース※1や国土地理院が作成している「活断層図」※2などがあります。活断層データベースでは、活断層の位置の概略が地図上に示されており、近傍に活断層があるかを確認することができます。敷地の真下を通っている場合、地震の被害は「揺れ」だけでなく「ずれ」によるものも起こりうるという判断が可能です。

産業技術総合研究所 活断層データベース 立川断層の事例(東京都西部)

図:産業技術総合研究所 活断層データベース 立川断層の事例(東京都西部)

また、活断層図は、活断層データベースより詳細な活断層の位置を示しています。しかし、情報が作成されている地域(断層)が限定されているほか、断層の位置以外の情報も記載されていることから、初心者の活用は難しいかもしれません。

これらの情報※3は一般に公表されているため、管理者責任の観点からは、被害が起こってから「想定外」とは言いにくいという性質を持っています※4。

これらの情報を活用し、民間企業が防災対策に取り組むことで、社会全体の防災意識の向上にもつながり、社会貢献にもつながるでしょう。地震はいつ発生するかわかりません。事前の災害対策を進めておくことが大切です。

事業地点数が多くてすべてを確認するのが困難という方や、専門家に見てもらいたいという方へ
国際航業は、長きにわたって活断層に関する調査を行ってまいりました。皆様の事業に影響を与えそうな活断層に関する「資料調査」など、お困りごとに沿った調査の実施も可能ですので、貴社担当の弊社営業担当者にお声かけください。

※1
活断層データベース

※2
活断層図

※3
現在把握され、調査が進められている活断層についてのみ。未発見の活断層が存在しうることに注意。

※4
活断層が分かる本・・・地盤工学会・日本応用地質学会・日本地震工学会編(2016):活断層が分かる本,技報堂

担当は、防災ソリューション部 大津拓也でした。