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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.200 「非財務情報開示」改革を踏まえたこれからの経営

2022/04/01

コラム

「非財務情報開示」改革を踏まえたこれからの経営

気候変動戦略研究室 長谷川 浩司

Vol.196でTCFD、前回Vol.199ではTNFDについてご紹介しましたが、今回は、気候変動や生物多様性を含めた非財務情報開示改革の動向についてご紹介いたします。

2021年11月3日にIFRS財団から、サステナビリティ開示基準を策定するために、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立することが公表されました。

これは、2つの重要な転換点となります。
第1は、非財務情報に関する開示基準がISSBによって統合されることです。
2022年6月迄に気候変動開示基準委員会(CDSB)とバリュー・レポーティング財団(VRF)がISSBに統合されることになりました。

第2は、IASB(国際会計基準審議会)とISSBの両者が IFRS財団の傘下に置かれたことです。
文字通り、財務情報と非財務情報がさらに強く結びついていくことになると考えられます。

なお、ISSBの設立と同時に、「サステナビリティ関連の財務情報開示に関する全般的な要求事項」及び「気候関連開示要求事項」のプロトタイプも公表されました。
今後も動向を注視する必要がありますが、これらの内容も踏まえて、取り急ぎお伝えしたいメッセージは、次の3点です。

1点目は、「気候関連開示要求事項」プロトタイプは、TCFDやTNFDと同様に「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4指標が柱になっていることです。
したがって、経営や事業活動を4指標にアライメントしていくことが、サステナビリティ経営を推進していく上で効果的になると考えられます。

2点目は、マテリアリティに関する「COMPREHENSIVENES(包摂性)」の概念です。
TCFDの「シングルマテリアリティ」、TNFDのダブルマテリアリティから「Dependency」をご紹介しましたが、さらにIFRS財団傘下のISSBは、各種のフィルターをとおして、マテリアリティは将来の財務価値に収斂されるという考え方があるようです。

3点目は、非財務情報と企業価値の「Value Relevance(価値関連性)」の重要性です。
企業は、1点目に示した4指標を基準に、どのように財務価値に繋げるかが重要になります。
しかし日本経済団体連合会が「ISSBプロトタイプに対する基礎的見解」でビジネスモデルの認識が不足していると指摘しているように、企業経営に落とし込むにはまだまだ大きな課題があるという状況です。

「Value Relevance(価値関連性)」とビジネスモデルの関係性は、「IntegratedThinking(統合思考)」という考え方が重要になります。
国際航業は、「情報を繋げる力で人・社会・地球の未来をデザインする」という2030ビジョンの下で今後もご支援をさせて頂きたいと考えております。

本号は、お陰様で第200号となりました。
第300号は、2030年を迎える時期になると思われます。
皆様だけでなく弊社もサステナブルな企業として発展した姿で、第300号を是非お届けできたらと考えております。

ご質問やご要望がございましたら、各営業担当者または技術担当者までお気軽にご相談を頂ければ幸いです。
担当は、気候変動戦略研究室 長谷川 浩司でした。