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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.199 「TNFD」開示フレームの第一弾が公表されました!

2022/03/01

コラム

「TNFD」開示フレームの第一弾が公表されました!

気候変動戦略研究室 長谷川 浩司

3月15日にTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)から、自然関連の開示フレームワークβ版が公表されました。

※TNFDのホームページはこちら
※日本語版のエグゼクティブサマリーはこちら

2017年6月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終報告書が公表されましたが、今回のTNFD開示フレームワークβ版は、自然資本や生物多様性等に関する機会とリスクの管理及び開示の枠組みを目指すドラフト第一弾となります。

企業は、TCFD開示フレームに基づいた気候変動に関するリスクと機会の財務情報開示に加えて、事業と自然資本や生物多様性の関係や影響の開示を準備していくことが求められます。

TNFD開示フレームワークβ版の内容的な特徴には、以下の3点が挙げられます。

第1は、リスクと機会を評価する上で、「LEAP」アプローチが取り入れられたことです。
LEAPアプローチとは、Location(自然との接点)、Evaluate(自然への依存と影響)、Assess(機会とリスク)、 Prepare(対策と開示)の4つのステップからなります。

第2は、「realms」(生物圏)という言葉を用いて、人の暮らしやビジネス及び金融は、自然に囲まれたわずかな一部であるという概念を示したことです。

第3は、「Dependency」というキーワードです。自然に与える影響を考慮するダブルマテリアリティ概念が発展したもので、企業は事業活動の基盤となる自然への依存度を認識する必要があるという視点で、TNFDの本質と考えられます。

加えて、2022年3月15日(火)に開催されたTNFD Forumに参加して感じたことは、2017年のTCFD公表時と比較して、さらに投資家の視点が重視され強調されていたことです。
当日のスピーカーの約半数は投資家の関係者でした。

企業は、事業活動の基盤となる自然への依存度を再認識し、Location、Evaluate、Assess、Prepareの4つのステップを段階的に進めていく必要があります。さらに、投資家の視点にも十分に配慮しながら進めていくことが求められます。

TNFD開示フレームワークは、2023年9月の最終報告書に向けて、トライアル利用によるフィードバックや意見募集を歓迎しているようです。

弊社は、皆様が初期段階からTNFD開示の準備を段階的に進めていく上で、トライアルに対するサポートや、皆様との共同でのトライアルを積極的に取り組んで参りたいと考えております。

ご質問やご要望がございましたら、是非とも各営業担当者または技術担当者までお気軽にご相談を頂ければと思います。

担当は、気候変動戦略研究室 長谷川 浩司でした。