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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.198 CDP水セキュリティ概要版レポートと2022質問書の変更点

2022/02/01

コラム

CDP水セキュリティ概要版レポートと2022質問書の変更点

防災環境事業部フロント営業部 黒田 康平

ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、
国際航業(株)はCDP水セキュリティ2021のスコアリングパートナーです。
水セキュリティ2021質問書に対する皆様の回答の一部をスコアリングさせて頂きました。

そして先月、当社もサポートしたCDP2021の報告書概要版が公開されました。
水セキュリティの概要版報告書はこちら

また、CDP2022の質問書についても情報が公表されましたので、それぞれの内容について紹介させて頂きます。
気候変動分野の質問書配布対象企業拡大へ

◆CDP水セキュリティ2021概要版において、以下が報告されています。

3,370社:グローバルで水セキュリティ質問書に回答した企業数2020の2,930社から大幅に増えています。
62%:日本で質問書を送付された361社のうち、223社が回答
37社:Aリストに選定された117社のうち、日本企業の数(国別で最多)
76%:事業に影響を与えうる水関連リスクが特定された企業の割合
81%:水に関する定量的・定性的な目標の両方を設定している企業の割合

現時点では、企業による水リスク評価の方法や、特定されたリスクに対する対応方法などについて明確に定められたガイドライン等はありませんが、気候変動による降水の変化や水害等の水関連リスクが現実に起きる中、事業継続に対する投資家の要請も強まっており、日本企業も水リスクの把握・対応をスピーディに進めつつあると言えます。

また、水リスクは自社のみではなくサプライチェーンにおける対応も重要であることから、現時点では質問書配布対象ではない企業でも、顧客からの対応要請が今後ますます拡大・強化されてくるものと考えられます。
水リスク・CDP水セキュリティの対応について、お悩みがある方は是非ご相談下さい。

◆CDP2022質問書に関する情報が公表されました。

今年も、来月には開示要請に関するレターが送付され、4~7月の期間で回答が求められる見込みとなっており、2021からの変更点等が公開され始めています。
大きな点として、以下の2点を挙げます。

気候変動分野の対象企業が、これまでの500社から、東証プライム市場上場企業全社(1,841社)に拡大されます。
2022の気候変動質問書に「生物多様性」に関する設問が加わり、さらに2023年からは「土地利用」「海洋」「食料」「廃棄物」などのテーマが加わった上で質問書が1つに統合されます。

気候変動についてはグローバルで13,000社以上が質問書に回答しており、日本においても対象企業を大幅に増やし、気候変動分野での取組拡大・推進を狙っているようです。
また、現在枠組みや目標設定手法が検討されている「TNFD(自然関連情報開示タスクフォース)」や「SBT for Nature」に沿った形での質問書統合が検討されています。
気候変動は、各テーマと相互に連携しているため、CDPにおいてもテーマごとの質問書ではなく統合的な質問書とし、企業においても関連する複数テーマを同時に検討・解決することで、取組の効果を上げたい狙いがあるようです。

今後はこれまで以上に、気候変動の緩和策だけではなく、関連するテーマも含めた評価・対応(適応策)が重要度を増す事となりそうです。

担当は、防災環境事業部フロント営業部 黒田でした。