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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.128 Monthly Report

2016/02/01

コラム

Monthly Report

技術本部 環境保全部環境ソリューショングループ 衛藤正二

●地下水汚染の未然防止に向けて

平成24年6月1日に水質汚濁防止法の一部を改正する法律(以下、改正法)が施行されて約4年間が経過しました。この改正法により、有害物質による地下水の汚染を未然に防止するため、「有害物質を使用・貯蔵する施設の設置者に対し、地下浸透防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準の遵守、定期点検及びその結果の記録・保存を義務付ける」規定等が新たに設けられました。当社では改正法施行前から、製造業のお客様からのご相談を受けて、改正法への対応(有害物質の地下浸透防止)に向けたご支援を積極的に行っており、その取り組みが認められ環境省の委員会へのオブザーバー参加や講習会での講師を務めて参りました。

■労働安全衛生法の改正「リスクアセスメント実施の義務付け」労働安全衛生法(以下、安衛法)の一部改正が2年前の平成26年6月25日に公布され、これまでに7つある改正内容について順次施行されています(例 ストレスチェックの義務化 2015/12/1施行等)。そうした中、最後となる7つ目「化学物質のリスクアセスメントの実施」の義務化が本年6月1日に施行されます。
対象となる物質はこれまで安衛法に基づく表示義務のあった104物質から大幅に拡大し、SDS(安全データシート)交付義務のある640物質となります。また、対象物質の新規採用時や、対象物質を取り扱う作業手順の変更時等にリスクアセスメントの実施義務が生じ、法律上の実施義務に該当しない場合でも、努力義務としてリスクアセスメントの実施を求める内容となっています。
リスクアセスメントにおいては、対象となる業務ごとにSDS等からリスクを見積り、必要に応じてリスク低減措置を検討・実施した上で、労働者に周知する必要があります。
対象物質の項目数がとても多く、取り扱う業務ごとにリスクアセスメントを実施する必要があることから、環境担当者様の苦労がさらに増えることになりそうです。

■4年前にコンサルティング業務として「定期点検方法の確立」をご支援させていただいたお客様は、継続的に定期点検を行いつつ、工夫しながら「有害物質を含む水」が流れる範囲(=点検範囲)を狭めて合理的に管理しています。また、当初は定期点検として管内TVカメラ調査が必要であった埋設配管を地上化することにより、容易に目視確認できるようにして定期点検の費用負担を軽くすることに成功しています。さらに、排水の環境リスク管理の次のステップとしてWET試験(※)を実施したお客様も出てきています。
※排水が生態系に与える影響を水生生物3種(魚類・甲殻類・藻類)により評価・管理する手法で、環境省により法規制導入の検討が進められている。

■一方、改正法への対応が十分ではなかったお客様からのお問合わせが最近増えてきています。お問合わせ内容としては、これまでは目視確認できる範囲で定期点検を行ってきたものの、いよいよ埋設配管部分について管内TVカメラ調査を検討したいというものでした。特に、複数社で管理している共同処理施設に接続した埋設配管が4年間経っても改正法に未対応なままで残っているケースに関するご相談が連続してありました。会社規模や改正法の理解度の違いなどが、未対応の原因のようでした。また、改正法施行後3年以上が経過し、自治体の立入り検査が行われ指摘を受けたという事情もあるようでした。今後も諸事情により改正法に未対応とな っている配管経路についてのコンサルティング業務、定期点検のご相談が増えてくると予測しています。

■改正法施行後約4年間が経ち、改正法施行当時の環境部署のご担当者が人事異動されたため、当時ディスカッションされていた重要な事項についての認識があいまいになっている事も多いようです。有害物質使用特定事業場や有害物質貯蔵指定事業場においては、点検要領と点検記録表と併せて、管理要領を作成していただき、人事異動の際にも確実に引継ぎを行っていただくことが重要だと感じました。改正法の対応に不安があるような場合やWET試験の実施に興味がある場合は、いつでもご相談下さい。

担当は、技術本部環境保全部環境ソリューショングループ 衛藤正二でした。