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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.121 Monthly Report

2015/07/01

コラム

Monthly Report

環境保全部 環境ソリューショングループ 佐藤 徹朗

●第21回 地下水・土壌汚染とその防止対策に対する研究集会 参加レポート
2015年6月18日、19日に九州大学で開催された地下水・土壌汚染とその防止対策に対する研究集会に参加し、発表を行いました。

■今回の研究集会では、合計145件の発表があり、○自然由来汚染の固化・不溶化、吸着層工法関係の発表がさらに増加したことが特徴でした。その他、○原位置浄化の現場施工例と従来からのバイオレメディエーションの試験研究の継続結果、○粘土層に残ったVOCを浄化するための原位置噴射による置換、攪拌、栄養剤注入、○マイクロバブル、ナノバブルを使った原位置浄化に関する発表が増加しました。また、注目される研究として、「1,2-ジクロロエタン脱塩素化メカニズム」、「VOCや重金属の形態や溶出特性等に関する研究」が挙げられます。

■このような中、当社は「VOC汚染サイトにおける電気発熱による原位置浄化対策への影響について(その3)」(佐藤徹朗他)、「各種土壌に対するPb、Cdの分配係数と共存イオンの影響」(山田優子他)の発表を行いました。

●電気発熱法(粘性土に浸透したVOCの原位置浄化技術)
「電気発熱法」は、株式会社島津製作所と共同開発を進めている土壌・地下水浄化システムです。地盤に挿入した電極に三相交流電気を印加し、ジュール熱により抵抗体となる土壌自体を発熱させるものです。

■土壌温度の上昇により、「粘性土の土粒子間に強く吸着しているVOCの地下水への溶出や気化の促進」、「加温によるガス圧の上昇、水の粘性低下による移動性の向上」、「微生物分解や化学分解の促進」等の効果があります。また、電気発熱法の場合、比較的電気抵抗の小さい粘性土層の方が電流は流れやすく、発熱しやすい特徴があり、スチームやヒーターを用いた加熱システムと大きく異なる特徴を持っています。

■このような特徴から、これまで原位置浄化が困難とされていた粘土層に浸み込んだVOC汚染に対し効果的な土壌浄化技術です。

■当社は、土壌・地下水汚染対策の最適化(環境面・経済面・社会面)を目的に、これからも原位置浄化の技術開発を行っていきます。

担当は、環境保全部環境ソリューションG 佐藤 徹朗でした。