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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.119 Monthly Report

2015/05/01

コラム

Monthly Report

法人営業部 環境サービスグループ 坂本 大

●水循環基本法のこれから
昨年(2014 年)7 月に水循環基本法が施行されました。この法律によって健全な水循環の維持・回復のための政策を包括的に推進する政策が定められました。

■特に興味深かったのは地下水を含む水が「国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いもの」(第3条の2)と初めて法的に位置付けられたことです。

■地下水は従来から公共財的性格が強い「公水」であると意見と、土地所有者が井戸などを設置して個人的に利用できるものであることから私的財産に含まれる「私水」であるという意見がそれぞれありました。実際、井戸を所有されている方は、自分の土地に付随する「私水」としての感覚を持ちながら利用されている方が多いと思います。
古くは明治29(1896)年3月の大審院第一民事部判決において、以下の判例が出されています。「地下に浸潤せる水の使用権はその土地所有権に附従して存在するを以って土地所有者はその所有権の行使上自由にその水を使用するを得る。」

■今回の水循環基本法はこうした公水、私水の議論に触れることなく、新たな概念として公共性の高い水、すなわち「公共水」との見解を打ち出しました。これによって、財産権から一定の距離を置きながらも、公共の立場から地下水の涵養、循環、利用を維持していくことの大義ができたことになります。

■現在、水循環を構成する地下水について、超党派の国会議員でつくる水制度改革議員連盟により、今国会での提出を目指して地下水保全法案の検討が進められています。こちらは地方自治体に強い責務を与えることが目的となっており、環境保全の立場からすると大きな影響がありそうです。揚水対策を稼働中のサイトへの対応などがある場合には、改めて皆様にまた情報を発信致します。

担当は、法人営業部環境サービスG 坂本 大でした。