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農村部の公共施設における非FIT太陽光導入計画の立て方~管理者が押さえるべき計画策定の実務と経済効果シミュレーション活用法~

2026/03/24

コラム

電気料金の高騰が、農村部の公共施設運営を圧迫しています。小中学校の月額電気代は平均で約24万円、年間では約290万円にも上ります。燃料価格の高騰や再エネ賦課金の負担増により、この傾向は今後も続く見通しです。
こうした中、「非FIT太陽光発電」という選択肢が注目を集めています。FIT(固定価格買取制度)に頼らず、発電した電気を自家消費することで電気代を直接削減できる仕組みです。
本記事では、農村部の公共施設管理者に向けて、非FIT太陽光発電の基本から、導入計画策定の具体的なステップ、そして経済効果シミュレーションの活用方法まで、実務に役立つ情報を解説します。

非FIT太陽光発電とは?農村部の公共施設に適している理由

非FITの基本を理解する

まず「非FIT」とは何かを整理しましょう。
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた固定価格で電力会社が買い取る制度です。2012年に始まったこの制度により、日本の太陽光発電は急速に普及しました。
一方、「非FIT」とは、このFIT制度の認定を受けていない太陽光発電設備のことを指します。非FITで発電した電気は、固定価格での買取ではなく、自家消費するか、市場価格で売却することになります。
非FIT電気には重要な特徴があります。FIT電気は再エネ賦課金という国民負担によって支えられているため、100%再生可能エネルギーとは見なされません。これに対し、非FIT電気は国民負担が発生しないため、100%再生可能エネルギーとして認められ、環境価値(非化石証書)が付与されます。

なぜ今「非FIT」なのか

非FITが注目される背景には、FIT制度を取り巻く環境の変化があります。
FIT買取価格は年々下落しており、2012年の40円/kWhから、現在は10円台にまで低下しています。売電による収益を期待する従来のビジネスモデルは成り立ちにくくなっています。
さらに、政府は2027年度以降、野立てメガソーラーへのFIT/FIP支援を終了する方針を示しています。再エネ賦課金による国民負担への批判もあり、政策の軸は「売電型」から「自家消費型」へとシフトしています。

一方で、電気料金は高騰を続けています。燃料価格の上昇、再エネ賦課金の増加により、自治体の電気代負担は増大しています。こうした状況で、発電した電気を自家消費して電気代を直接削減できる非FIT太陽光発電が、合理的な選択肢として浮上しているのです。

農村部の公共施設に非FITが適している理由

農村部の公共施設は、非FIT太陽光発電の導入に適した条件を備えています。

第一の理由は、昼間の電力使用が中心であることです。学校や公民館は、日中に電力使用が集中します。太陽光発電の発電ピークも日中ですから、発電と需要のタイミングが一致し、自家消費率を高めやすいという特性があります。
第二の理由は、広い敷地を活用できることです。都市部と異なり、農村部の公共施設は敷地に余裕があります。屋根だけでなく、駐車場にソーラーカーポートを設置したり、グラウンドの一部に野立てパネルを設置したりすることも可能です。
第三の理由は、避難所機能との相乗効果です。農村部の学校や公民館は、災害時の避難所に指定されていることが多いです。太陽光発電に蓄電池を併設すれば、停電時にも電力を供給でき、地域の防災拠点としての価値が向上します。
第四の理由は、環境教育の教材として活用できることです。発電量をモニターで「見える化」すれば、子どもたちへの環境教育に活用できます。地域のカーボンニュートラルの象徴として、住民の意識向上にもつながります。

導入計画策定の前に確認すべき5つのポイント

非FIT太陽光発電の導入を検討する際、まず確認すべきポイントを整理します。

ポイント①:施設の基本情報を整理する
導入を検討する施設について、基本情報を整理しましょう。
施設分類(学校、公民館、体育館など)、建築年、耐震基準への適合状況を確認します。特に重要なのは、建替・廃止・解体に関する計画の有無です。PPA方式で導入する場合、契約期間は15〜20年に及びます。その間に施設が廃止される予定があれば、導入は難しくなります。

ポイント②:屋根・設置場所の条件を確認する
太陽光パネルを設置する場所の条件を確認します。
屋根面積と形状(傾斜屋根か陸屋根か)、屋根素材(スレート、金属、コンクリートなど)を把握します。また、屋根の耐荷重も重要です。太陽光パネルは1平方メートルあたり15〜20kg程度の重量があり、古い建物では耐荷重が不足している場合があります。
周辺環境も確認が必要です。樹木や近隣の建物、山などによる影の影響は、発電量に直結します。加えて、駐車場やグラウンドなど、屋根以外の設置可能スペースも検討材料になります。

ポイント③:電力使用状況を把握する
経済効果を試算するためには、現在の電力使用状況の把握が不可欠です。
過去12ヶ月分の電力使用量データ(月別)を収集します。デマンド値(30分間の最大使用電力)も重要な情報です。可能であれば、時間帯別の使用パターン(昼間と夜間の比率)も把握しておくと、自家消費率の予測精度が上がります。
学校の場合、夏休みや冬休みなど長期休暇中は使用量が大きく減少します。こうした季節変動も考慮に入れる必要があります。

ポイント④:系統連系の条件を確認する
農村部特有の課題として、系統連系の条件があります。
電柱から施設までの距離が遠い場合、連系工事費が増大します。また、地域によっては系統の空き容量が不足しており、連系が困難な場合もあります。余剰電力の売電を検討する場合は、事前に電力会社への確認が必要です。

ポイント⑤:導入方式を検討する
太陽光発電の導入方式には、主に3つの選択肢があります。
自己所有方式は、自治体が設備を購入・所有する方式です。補助金を活用でき、長期的なコストメリットは大きいですが、初期投資と維持管理の負担があります。
PPA(電力購入契約)方式は、PPA事業者が設備を所有・維持管理し、自治体は発電した電気を購入する方式です。初期費用がゼロで、維持管理の手間もかからないため、財政難の自治体には現実的な選択肢です。

リース方式は、リース会社から設備を借りる方式です。リース料にメンテナンス費用が含まれる場合もあります。
農村部の財政状況を考えると、初期費用ゼロで導入できるPPA方式が、多くの場合において現実的な選択肢となるでしょう。

非FIT太陽光導入計画策定の7つのステップ

導入計画を策定するための具体的なステップを解説します。

ステップ1:対象施設のリストアップ
まず、自治体内の全公共施設を棚卸しします。学校、公民館、体育館、農業関連施設、診療所など、太陽光発電の導入候補となる施設をリストアップし、施設ごとに基本情報を整理します。
環境省が提供する「太陽光発電設置可能性簡易判定ツール(地方公共団体版)」を活用すれば、候補施設の適性を簡易的に判定できます。

ステップ2:優先順位の決定
全ての施設に一度に導入することは現実的ではありません。優先順位を決める必要があります。
判断基準としては、設置適性(屋根条件、残存耐用年数)、電力使用量の大きさ(削減効果が大きい施設を優先)、避難所指定の有無(防災拠点を優先)、老朽化・建替計画との整合などが挙げられます。

ステップ3:経済効果シミュレーションの実施
優先度の高い施設について、経済効果シミュレーションを実施します。
施設ごとの発電量、自家消費量、余剰電力量を試算し、電気料金の削減額(年間・20年間)を算出します。CO2削減量も併せて算出しておくと、環境面での効果もアピールできます。
自己所有の場合は投資回収期間やROI(投資利益率)を、PPA方式の場合はPPA単価と現在の電力単価との比較を行います。
この経済効果シミュレーションには専門知識が必要ですが、エネがえるBPOを活用すれば、1件10,000円からで代行を依頼できます。施設の電力使用量データを提供するだけで、最短1営業日で結果を得られます。

ステップ4:導入方式の選定
シミュレーション結果を踏まえ、導入方式を選定します。自己所有、PPA、リースの中から、財政状況や施設の条件に合った方式を選びます。
補助金の活用可否も重要な検討事項です。環境省の「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」など、活用可能な補助金を確認しましょう。

ステップ5:住民・議会への説明
導入計画を進めるには、住民や議会の理解が不可欠です。
この段階で、経済効果シミュレーションの結果が威力を発揮します。「この学校に太陽光を入れると、年間○○万円の電気代が削減できます」「20年間で○○万円の経済効果があります」という具体的な数字は、何よりも説得力があります。
加えて、防災機能の強化(避難所への蓄電池設置)、環境教育への活用、地域のカーボンニュートラルへの貢献といった付加価値もアピールしましょう。

ステップ6:事業者選定・公募
PPA方式の場合、PPA事業者を選定するための公募を行います。公募要件を整理し、複数の事業者からPPA単価やサービス内容の提案を受けて比較検討します。
農村部では複数の小規模施設に分散して導入するケースが多いですが、複数施設を一括で公募すればスケールメリットが働き、より有利なPPA単価を引き出せる可能性があります。ある自治体では、140施設へのPPA一括導入により、系統電力単価以下での契約を実現した事例もあります。

ステップ7:系統連系・工事・稼働
事業者が決まったら、系統連系協議、設備設置工事、稼働へと進みます。
系統連系協議は時間を要することがあるため、早めに着手することが重要です。また、補助金を活用する場合は、公募スケジュールとの調整も必要になります。
稼働後は、実際の発電量や削減効果を検証し、次の施設への展開に向けた実績として蓄積していきましょう。

経済効果シミュレーションで計画の説得力を高める

なぜ経済効果シミュレーションが重要なのか

非FIT太陽光発電の導入を検討する際、最も多く聞かれる質問は「太陽光を入れたら、いくら電気代が下がるのか」です。
この問いに具体的な数字で答えられなければ、予算要求も議会説明も難しくなります。また、複数施設の中からどこを優先すべきかを判断するためにも、施設ごとの経済効果を比較する必要があります。
経済効果シミュレーションは、導入計画策定の基盤となる重要なプロセスです。

シミュレーションで算出すべき項目

導入計画の策定に必要な項目を確認しましょう。

まず、発電量・自家消費量です。年間発電量(kWh)、自家消費量と自給率、余剰電力量と余剰率を算出します。農村部の公共施設は昼間の使用が中心のため、自家消費率が高くなる傾向があります。

次に、電気料金削減効果です。年間削減額(円)、削減率(%)、そして20年間の累計削減額を示します。長期的な効果を示すことで、導入の意義が明確になります。
CO2削減量も重要です。年間削減量をt-CO2で示すとともに、「一般家庭○世帯分に相当」といった分かりやすい表現に換算すると、住民にも理解されやすくなります。
導入効果の比較も必要です。導入前後の電気代比較をグラフで示すと、視覚的に分かりやすくなります。自己所有の場合は投資回収期間とROI、PPA方式の場合はPPA単価と系統電力単価の比較、20年間の経済効果を算出します。

エネがえるBPOの活用

経済効果シミュレーションには専門知識が必要ですが、農村部の施設管理課にそうした知識を持つ職員がいることは稀です。
エネがえるBPOは、国際航業株式会社とエコリンクス株式会社が提携して提供するサービスで、経済効果シミュレーションを1件10,000円から代行してもらえます。施設の電力使用量データを提供するだけで、最短1営業日で結果が納品されます。
納品されるシミュレーション結果は、導入計画策定の根拠資料として、予算要求資料として、議会・住民説明資料として、さらにはPPA事業者選定時の比較検討資料として、そのまま活用できます。

複数施設を一括でシミュレーション

農村部では、大規模施設への一括導入よりも、小中学校、公民館、体育館など複数の小規模施設に分散して導入するケースが多くなります。
この場合、施設ごとの経済効果を比較し、どの施設から優先的に導入すべきかを判断する必要があります。エネがえるBPOを活用すれば、複数施設を一括でシミュレーションし、優先順位付けを効率的に行えます。
ある自治体では、災害時の避難所となる公民館と市立学校のうち、設置可能な140施設に太陽光発電設備と蓄電池をPPA方式で一括導入しました。スケールメリットを活かして系統電力単価以下でのPPA契約を実現し、年間約4,878t-CO2の削減(約1,900世帯分に相当)を達成しています。

まとめ

農村部の公共施設こそ、非FIT太陽光発電の導入適地
農村部の公共施設は、非FIT太陽光発電の導入に適した条件を備えています。昼間の電力使用が中心で自家消費率が高く、広い敷地を活用でき、避難所機能との相乗効果も期待できます。環境教育の教材としての活用も、地域にとって大きな価値となります。

導入計画策定の鍵は「経済効果シミュレーション」
導入計画を策定する際の鍵は、「いくら削減できるか」を具体的な数字で示すことです。経済効果シミュレーションの結果は、予算要求、議会説明、住民説明のすべてに活用できます。複数施設を比較して優先順位を決める際にも、客観的な判断材料となります。

専門知識がなくても大丈夫
「太陽光発電の専門知識がない」という不安を抱える施設管理者も多いでしょう。しかし、エネがえるBPOを活用すれば、電力使用量データを提供するだけで、専門的な経済効果シミュレーションを代行してもらえます。
1件10,000円から、最短1営業日で納品。複数施設の一括シミュレーションにも対応しています。

農村部の公共施設における非FIT太陽光発電の導入は、電気代削減、防災機能強化、カーボンニュートラルへの貢献と、複合的なメリットをもたらします。まずは経済効果の「見える化」から始めてみてはいかがでしょうか。

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