災害調査活動への取り組み
平成27年5月 口永良部島噴火
口永良部島で発生した爆発的噴火と火砕流の気象庁画像による速度解析
口永良部島では、5月29 日09 時 59 分頃に爆発的噴火が発生し、噴火に伴い火砕流が発生して海岸まで到達しました。
国際航業では、気象庁提供の本村西遠望監視カメラ映像を用い、画像相関分析により速度ベクトルを求める手法であるPIV(Particle Image Velocimetry)を適用して、爆発的噴火の噴出と火砕流の流下速度の解析を行いました。
気象庁画像は動画ではなくframe(コマ)間隔が不規則な準動画で解像度も低いといった制約から、詳細な速度の計測は困難ですが、おおまかな速度を把握することができました。
今回の噴火で被災された方々に、謹んでお見舞いを申し上げます。弊社の所有する技術が、二次災害の抑制に少しでもお役に立てれば幸いです。
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解析地点 (使用した画像の例:図1) |
時刻 (解析に使用した画像のコマの時刻) |
解析速度※ (カメラ視線方向に直交方向の速度) |
推定移動速度 (解析速度から推定される実際の速度) |
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新岳火口直上 (画像a) |
9:59:40~9:59:41 | 約300 km/h | 噴煙(爆発的噴火による初期の噴出ジェット) 噴煙が火口からほぼ垂直に上昇したと仮定し、解析速度≒実際の速度と想定した場合300~450 km/h(約80~130m/s) 熱によるいわゆる噴煙の上昇速度ではなく、爆発の射出速度に近いものと考える |
新岳火口直上 (画像b,c,d) |
9:59:42~9:59:43 | 約460 km/h | |
中腹斜面 標高180m付近(画像e) |
10:00:20~10:00:21 | 約200 km/h | 火砕流(雲状の拡大部) 画像解析速度は視線に直交(横)方向だが、部分的変位が等方的で進行方向も同様な速度と仮定した場合約200km/h(約55m/s) 解析速度は、火砕流が横方向に瞬間的に拡がる速度を計測しているが、進行方向の速度も少なくとも一時的には同等あるいはそれ以上の速度を有していたものと考えられ、時速200キロ程度以上の移動速度が推測される(火口から海岸までの平均時速115キロ(福岡管区気象台)に整合的) |
向江浜(画像f) | 10:00:47~10:00:48 | 約110 km/h | 火砕流(先端付近の灰かぐら) 同じく解析速度は視線に直交方向だが、部分的変位が等方的と仮定した場合約100km/h(約30m/s) 火砕流の灰かぐらの上昇成分を含む速度であり、進行速度はこれより遅くなっている可能性がある |
向江浜(画像g) | 10:00:48~10:00:49 | 約90 km/h |
※解析速度:PIVでは視線方向に直交する方向(見かけ上の横向き)の速度成分を分析していますので、視線方向(手前)に真っ直ぐに向かってくる物体の速度を示すものではありません。

2015年6月11日作成
口永良部島の爆発的噴火(5月29日)からおよそ3ヶ月が経過し、気象庁が発表する噴火警戒レベルは5状態が継続しています。島への立入規制が継続している中、9月5日に航空写真を撮影しました。
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※撮影:国際航業株式会社
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