災害調査活動への取り組み
【速報】平成19年7月 新潟県中越沖地震
平成19年7月16日午前10時13分、新潟県中越沖の深さ17kmを震源とする、M6.8の地震が発生し、新潟県柏崎市、長岡市、刈羽村、長野県飯綱町で震度6強の大きなゆれが観測され、各地で大きな被害が発生しました。
国際航業株式会社では、平成19年7月17日に被災地の現地状況写真、7月18日に斜め写真(航空写真)、7月18日・19日に垂直写真(航空写真)を撮影し、7月24日にはレーザ計測を実施しました。また、航空写真・現地調査結果を参考にしながら、地盤災害概況図を作成しましたので掲載致します。
今回の災害で亡くなられた方に謹んで哀悼の意を表するとともに、今後、弊社の所有する技術が、現地復旧および二次災害の抑制に少しでもお役に立てれば幸いです。被災地の1日も早い復旧をお祈りしております。
【8月1日】
平成19年(2007年)新潟県中越沖地盤災害概況図を更新しました。
主要箇所の正射投影画像、航空レーザ計測による表層面データ画像を追加しました。
写真撮影・レーザー計測位置図
(図の数字をクリックするとサムネイル一覧へリンクします。)
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の20万分の1地勢図、5万分の1地形図、2万5千分の1地形図、数値地図200000(地図画像)、数値地図50000(地図画像)及び数値地図25000(地図画像)を複製したものである。
(承認番号 平18総複、第528号)
※この撮影標定図は国土地理院発行の数値地図200000を背景画像に使用して作成しました。
青海川レーザー計測速報
7月24日撮影の青海川駅周辺のレーザ計測(速報)です。
(画像をクリックするとPDFファイルが別ウィンドウで表示されます。)
判読項目
地盤災害判読の記号および項目は次の通りです。
記号 | 判読項目 | 備考 |
---|---|---|
地すべり箇所 | これらの区分は全体の傾斜、滑落崖の明瞭度や崩落土塊表面の特徴などによるもので、厳密なものではなく、地すべり性の崩壊も見られる。滑落崖の下部に崩土塊が明瞭に認められる場合は、範囲を塗りつぶして表示した。 | |
斜面崩壊箇所 | ||
地盤・盛土の顕著な破壊・変形箇所 (亀裂・段差・溝・凹地) | 法肩などに既にブルーシートが設置された箇所についても、亀裂等の発生と見なして同じ凡例で表示した。 | |
液状化による噴砂、陥没箇所 | 範囲を特定できない場合は、砂、泥水等の分布の最も顕著な部分に対して発生点を表示(青丸)した。 | |
崩落土砂の河道閉塞による湛水域 | 河道閉塞地点を三角で示した。 | |
道路斜面損壊箇所(切土、盛土) | 地盤・盛土の変状や斜面崩壊と同様な記号であるが、地形図上の道路法面・斜面に表示したもの。 | |
道路構造物等損壊箇所 | 道路やその付帯構造物等にクラック・段差等の損傷が見られる箇所。崩落土砂によって詳細を確認できない箇所も含む。 | |
道路路面等補修箇所 | 道路面や鉄塔等構造物基礎部分がアスファルトや砂利で補修されたり、ブルーシートが設置されており、クラックや段差の発生が推定されるもの。 | |
港湾施設(構造物)損壊箇所 | 埠頭、防波堤等に亀裂や段差が見られるもの。 | |
鉄道施設(構造物)損壊箇所 | 軌道、駅舎等の損傷箇所 |
平成19年(2007年)新潟県中越沖地盤災害概況図
(画像をクリックするとPDFファイルが別ウィンドウで表示されます。)
この図は、国際航業株式会社と株式会社パスコとが共同で平成19年7月18日および19日に撮影した航空写真(縮尺1/6,000)を使用し、現地調査結果を参考にしながら、弊社の防災技術者が写真判読を行って作成したものです。
写真の解像度の限界により、開口幅10cm程度以下の亀裂や数10cm以下の段差等の変状は記載しておりません。また、基図は地理院の1/25,000地形図を用いているため、詳細な地形が正確に表現されておらず、変状の形や位置の描画にも限界があります。なお、家屋等の建築物についての被害状況は記載しておりません。斜面崩壊箇所については、既往の災害によりすでに発生していた箇所も含まれる可能性があります。また、当図面は速報版のため、柏崎刈羽原子力発電所敷地内については、顕著な崩落等のみ表示しています。
本震および主な余震の位置は、気象庁緊急地震速報の最終版を参照しました。
主要箇所の判読図・正射投影画像・航空レーザ計測による表層面データ画像
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
堆積岩の層理面に沿って斜面上端から大規模な崩壊が発生している。崩土には長径10m以上の岩塊が散在する部分もあるが、土塊が分離せずに斜面に滞留している部分も認められる。崩壊は岬突端の北側に集中し、隣り合うように分布するが、最大の崩壊地の頭部の尾根を挟んで反対側(南側)の斜面にも、明瞭な滑落崖を伴う地すべり性の崩壊が見られる。これらの崩壊地には、隣接する斜面に開口亀裂が連続するのが認められるものもある。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
海食崖の上端から崩壊が発生し、崩土が海岸沿いの道路を閉塞している。また、山側の斜面では、道路が谷埋め盛土を通過する箇所で崩壊が発生している箇所がある。さらに駐車場・グラウンドなどの盛土部と推定される箇所の谷側法肩がブルーシートなどで覆われており、亀裂が発生したと推定される。高速道路の谷部を通過する切盛り境界部では、段差が発生したと推定されるが既に補修がなされている。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
海食崖の上端付近から崩壊が発生し、青海川駅の西端部を崩土が覆っている。崖の上方には海成段丘面が分布し、崖の上部は段丘堆積物からなると推定される。段丘面上に並ぶ宅地の崖際にはブルーシートが見られ、クラックが発生しているものと推定される。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
柏崎港の埠頭の端部(救援艦船が接岸している部分など)には沈下が観察でき、一部では液状化によると思われる泥水の付着した痕跡が認められる。海浜公園では、道路沿いの植栽部分に平行に連なる開口亀裂が発生し、陥没が認められる。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
液状化は、航空写真ではグラウンドや駐車場敷地などで比較的明瞭に観察できるが、住宅や街路などでも泥水の分布などにより推定できる。液状化の発生地点は、旧河道部や水田を盛土した人工改変地、埋立地にほぼ限定される。鯖石川改修記念公園では、新川堤防と平行に開口亀裂が発生している。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
鯖石川と別山川の合流点にあたり、大きく蛇行した旧河道が分布する。こうした低地上のグラウンドなどでは、液状化が発生した可能性のある痕跡が認められる。低地に半島状に突出した旧砂丘上では、崩壊やクラックが発生し、砂丘と低地の境界付近で鉄道や道路に変状が生じている。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
岬の東側では海食崖上端、南側では海成段丘崖のいずれも崖頂部から崩壊が発生し、東側では道路に崩土が堆積している。地質構造的に、東側は受け盤斜面、南側は走向におおむね直交する方向の斜面であり、前者の方が急斜面となっている。
(画像をクリックすると拡大写真ページへリンクします。)
比較的明瞭な滑落崖と移動土塊を伴う地すべりが発生し、国道8号を寸断するとともに、黒川および合流する支川の河道を一時閉塞した。頭部の滑落崖は2重で円弧状を呈しているが、広域的に見るとさらに背後の山側にも、頭部のリッジに平行するように多重の尾根と谷が分布している。これらは、この地点で過去に地すべりが繰り返し発生したことを示し、今回発生したのは大きな地すべりブロック先端部の再滑動であることを示唆する。
垂直写真標定図
(図の数字の付近をクリックするとそれぞれの拡大写真が表示されます。)
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の20万分の1地勢図、5万分の1地形図、2万5千分の1地形図、数値地図200000(地図画像)、数値地図50000(地図画像)及び数値地図25000(地図画像)を複製したものである。
(承認番号 平18総複、第528号)
※この撮影標定図は国土地理院発行の数値地図50000を背景画像に使用して作成しました。
7月24日、計画した全13コースの撮影を終了しました。
垂直写真
(画像をクリックすると全体写真と部分拡大写真が表示されます。)
※撮影:国際航業株式会社・パスコ株式会社
斜め写真、現地写真位置図
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の20万分の1地勢図、5万分の1地形図、2万5千分の1地形図、数値地図200000(地図画像)、数値地図50000(地図画像)及び数値地図25000(地図画像)を複製したものである。
(承認番号 平18総複、第528号)
(図の数字の付近をクリックすると拡大写真が表示されます。)
※この撮影標定図は国土地理院発行の数値地図50000を背景画像に使用して作成しました。
7月24日撮影 斜め写真
(画像をクリックすると拡大写真が表示されます。)
※撮影:国際航業株式会社・株式会社パスコ
7月18日撮影 斜め写真
(画像をクリックすると拡大写真が表示されます。)
※撮影:国際航業株式会社・株式会社パスコ
7月17日撮影 現地状況写真
(画像をクリックすると拡大写真が表示されます。)
※撮影:国際航業株式会社
- 当ページの著作権は当社に帰属します。
- 当ページに掲載している情報(航空写真・衛星画像を除く)の著作権は当社に帰属します。
- 当ページに掲載している航空写真・衛星画像の著作権の帰属は、本文注釈に記載のとおりです。
- 当ページで得られた情報を無断で転載、複製、販売、出版、公開、使用しないでください。
- 弊社は、当ページに情報を掲載するにあたり、正確な情報を提供するよう細心の注意を払っておりますが、その内容の正確性・妥当性については一切責任を負いません。
- 掲載したコメント等は弊社の知得した情報等に基づく見解であり、当該コメント等に対する責任は負いかねます。
- 当ページに掲載した情報、コメント等を利用することにより利用者に発生した一切の損害について、弊社は関知いたしません。
- 提供される情報の内容が明らかに間違っている場合は、速やかに内容を検討して対応いたしますので、 お手数ですが上記の問合せ先までご連絡ください。