2025/08/21
製品情報
2025年3月1日より、Google Maps Platform(GMP)の無償枠が改定されました。無償枠の改定にて、利用規模やAPIの活用方法によって料金の増減が発生します。どのように料金が変化したのか、弊社が調査を行った結果、「中型」「小型」のユーザー分類ごとに従来の料金と比べて変化が見られましたが、「大型」ユーザーでは変化が見受けられませんでした。
本記事では、今回の価格改定の詳細を解説するとともに、実際のデータに基づき「大型」「中型」「小型」のユーザー分類ごとに、料金にどのような変化が現れたのかを分析します。
2025年3月1日から、これまでの「毎月200ドル分まで無料」という仕組みがなくなり、代わりにサービスの種類(SKUカテゴリ)ごとに設定された無料リクエスト数が、毎月自動的に付与されるようになりました。各カテゴリの無償枠は以下の通りです。
Essentials | SKUごとに毎月10,000回まで無償 |
---|---|
Pro | SKUごとに毎月5,000回まで無償 |
Enterprise | SKUごとに毎月1,000回まで無償 |
この変更の対象は、Google Maps PlatformのコアサービスであるMaps、Routes、Places、Environmentです。 なお、APIの単価自体に変更はありません。
この変更により、利用料金が下がるケースが出る一方、利用料金が上がるケースも発生しております。
Aerial View (Pro) を5,000コール、Places-Nearby Search (Pro) を5,000コール、Geocoding (Essentials) を10,000コール利用した場合、旧体系では200ドルのクレジットを差し引いた後も90ドルの料金が発生しました。 しかし、新体系では、これら全ての利用が各SKUの無償枠の範囲内に収まるため、月額費用は0ドルになります。
Static Maps (Essentials) を100,000コール利用した場合、旧体系では200ドルのクレジット内で収まるため支払い額は0ドルでした。一方、 新体系では、最初の10,000コールのみが無償となり、残りの90,000コール分に対して180ドルの料金が発生します。
分析の結果、月額利用料10万円未満の「小型ユーザー」層では、料金が増加する傾向が見られました。
理由としては旧体系では、多くの小型ユーザーが200ドルの無償クレジットの範囲内でサービスを利用できており、支払額がゼロに近いケースも少なくありませんでした。
しかし、新体系では特定のAPI(例: EssentialsカテゴリのAPI)の利用が月10,000回を超えると、その超過分が直接課金対象となります。これにより、これまで料金が発生しなかったユーザーにも料金が発生します。
表:とあるユーザー様のDynamic Maps APIの2025年2月および3月の利用状況
Dynamic Maps API利用状況 | call数 | 料金 |
---|---|---|
2025年2月実績(旧体系) | 15,005 | ¥0 |
2025年3月実績(新体系) | 16,999 | ¥7,328 |
月額10万円から100万円の「中型ユーザー」層では、料金が減少するという、小型ユーザーとは逆の結果になりました。
理由としてはこのユーザー層は、地図表示(Essentials)、経路検索(Pro)、場所検索(Pro)など、複数のカテゴリにまたがるAPIをバランス良く利用している傾向が見受けられます。
新体系では、3つのカテゴリそれぞれで無償枠が適用されるため、複数の無償枠を同時に適用されます 。
複数の無償枠が適用されることで、旧体系の200ドルクレジットを上回り、全体のコスト削減につながったと考えられます。
表:とあるユーザー様のDynamic Maps APIの2025年2月および3月の利用状況
2025年2月実績(旧体系)
API利用状況 | call数 | 料金 |
---|---|---|
Geocoding | 464,866 | ¥304,184 |
Dynamic Maps | 323,013 | ¥302,679 |
Directions | 41,718 | ¥32,396 |
¥639,259 |
2025年3月実績(新体系)
API利用状況 | call数 | 料金 |
---|---|---|
Geocoding | 482,296 | ¥296,442 |
Dynamic Maps | 330,556 | ¥287,745 |
Directions | 41,034 | ¥23,243 |
¥607,430 |
月額100万円を超える「大型ユーザー」層では、企業によって料金の変動にバラつきがあり、全体的に明確な変動が見受けられませんでした。
理由としては大型ユーザーの請求額は高額であるため、200ドル程度のクレジットの有無や、数千〜1万回程度の無償リクエストは、請求総額から見ればごく僅かな割合に過ぎません。
今回のGoogle Maps Platformの価格改定は、ユーザーのAPI利用実態を浮き彫りにするものでした。料金の増減は、単なる利用量で決まるものではなく、「どのAPIを」「どのくらいの頻度で」「どのように組み合わせて」利用しているかによって料金が大きく変化します。
今後、ユーザーは自社の利用状況を正確に把握し、新料金体系に併せてAPIの活用方法を検討することが、コスト管理において一層重要になると考えられます。
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