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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.169 大気汚染防止法のアスベスト法規制強化

2019/07/01

コラム

大気汚染防止法のアスベスト法規制強化

防災環境事業部 事業推進部 衛藤 正二

今月は、アスベストの規制強化に関する動きをご案内させて頂きます。

現在、大気環境中へのアスベスト飛散防止対策としては「大気汚染防止法」に基づき、特定建築材料が使用されている建築物等の解体、改造、補修作業を行う際には、事前に都道府県等に届出を行い、作業の種類ごとに定められた「作業基準」を遵守することが義務付けられています。
特定建築材料はレベル1建材、レベル2建材と呼ばれ、具体例は以下の通りです。

【レベル1建材】
吹付け石綿(1.吹付け石綿、2.石綿含有吹付けロックウール、3.石綿含有ひる石吹付け材、4.石綿含有パーライト吹付け材)
【レベル2建材】
石綿を含有する断熱材(1.屋根用折板裏断熱材、2.煙突用断熱材)
石綿を含有する保温材(1.石綿保温材、2.石綿含有けいそう土保温材、3.石綿含有パーライト保温材、4.石綿含有けい酸カルシウム保温材など)
石綿を含有する耐火被覆材(1.石綿含有耐火被覆材、2.石綿含有けい酸カルシウム板など)

特定建築材料(レベル1,2建材)には作業基準が定められている一方、スレート板、岩綿吸音板、けい酸カルシウム板、床用ビニルタイル等の石綿含有成形板(レベル3建材、アスベスト0.1重量%を超えて含有するもの)は、特定建築材料に該当しないため、現行の大気汚染防止法では解体時の届出義務がありません。

一方、石綿障害予防規則においては、解体作業時等の作業従事者への曝露防止の観点から、石綿含有成形板を薬剤等で湿潤化した上で、手ばらしによる取外しを行う等による飛散防止対策が示されてはいます。
しかし、届出義務はないことから監視が行き届かず、解体作業時等の不適切な取扱いによる周辺環境へのアスベスト飛散がこれまで懸念されていました。

石綿含有成形板は労働安全衛生法施行令により、2006(平成18)年9月から製造・使用等が全面的に禁止されていますが、身近な建築物中に大量に使用されており、種類と使用量はレベル1、2建材の数十倍になります。またアスベストを含む民間の建築物は全国で280万棟を超え、今後解体・改修工事が増加するとされています。

そのため、環境省は解体・改修する建築物の石綿含有成形板についても、アスベストの有無を自治体に報告し、自治体が現場に立ち入り検査を実施し、さらにアスベストの飛散防止などの適切な対策が取られているかを確認する制度を検討中です。

これにより年間で数10万~100万件の報告が義務化される見通しですが、環境省は中央環境審議会の議論を踏まえ、来年の通常国会に大気汚染防止法改正案を提出することを目指しています。

参考資料:論点と対応の方向性(環境省)

弊社ホームページにおけるアスベスト調査等ご紹介

アスベスト対応に際し、お困りの事がありましたら是非ご相談下さい。
担当は、防災環境事業部 事業推進部 衛藤正二でした。