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MIRAIT ONE GROUP

2023/09/05

リリース

MADOCA-PPPによる海洋離島のマッピングサービス実証事業を開始 ~内閣府「2023年度みちびきを利用した実証事業」採択案件~

国際航業は、内閣府が公募した「2023年度 みちびきを利用した実証事業」に応募し、東南アジア海洋国および大洋州島嶼国(太平洋島嶼国14か国、欧米国領等を加えた16カ国2地域)を対象とした「MADOCA-PPP※1による海洋離島のマッピングサービス実証事業」(以下、本実証事業)が採択されました。「2023年度 みちびきを利用した実証事業」は、準天頂衛星システム「みちびき※2」を利用した多種多様な製品・サービスが、早期に提供される環境を整備するため、内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社が連携し、実施しているものです。

[採択結果] 2023年度 みちびきを利用した実証事業公募(内閣府 宇宙開発戦略推進事務局): https://qzss.go.jp/info/information/applidemo_230630.html

■背景

7機体制における受信仰角区分 参照:JAXA資料

2018年11月から、「みちびき」は4機体制で運用が行われており、今後の準天頂衛星7機体制さらに11機体制に向けた検討・開発が閣議決定され、「みちびき」の受益範囲が東南アジア海洋国および大洋州島嶼国に大きく広がると見込まれています。

本実証事業の目的は、東南アジア海洋国、大洋州島嶼国における海洋離島の測量にMADOCA-PPPを適用する際の技術ガイドラインの作成、当該国等へのセミナーの開催、デモンストレーションによるMADOCA-PPP技術の認知を図るものです。これにより、今後当該国での海洋離島の測量および地図作成にあたっての精密単独測位(PPP)適用の技術指針を示し、大洋州島嶼国でのマッピング事業を創出していきます。

■「みちびき」のアドバンテージ
対象としている海洋国、大洋島嶼国の海洋離島は、地上通信ができず既存の電子基準点や既存の測量基準点からの相対測位ができないことから、一般に単独測位(受信機1台で長時間の観測を行い、平均値を観測座標とする方法)により測量を行ってきましたが、「みちびき」のMADOCA-PPPの高精度測位補強サービスを用いることにより、安価で短時間に測量を実施することができます。

■本実証事業の概要
本実証事業は、フィリピン政府および日本政府の協力のもと、「みちびき」による高精度測位補強サービス(MADOCA-PPP)を用いた海洋離島の測量に適用する技術ガイドラインを作成し、実際の離島で実証検証を行います。

フィリピンの島の数は、7,853島(岩礁ふくまず)と公表されています。NAMRIA(フィリピンの測量当局)にはフィリピン・島嶼・インベントリ・プロジェクト(PIIP)という島の測量のための特別なプロジェクトがあり、継続的に島の調査を行っています。航空写真および高解像度衛星画像、SAR(合成開口レーダ)により現地調査の対象となる島を特定し、最終的に現地にて名称や満潮時の水位等を確認し、地図作成のための地上基準点を設置します。地上基準点の設置は、与点(予め座標値のわかっている基準点)からの相対測位を実施して座標を決めますが、海洋離島のため与点を使った相対測位が実施できません。このため、約8時間かけて単独測位を実施して座標値を決めています。MADOCA-PPPが適用できれば、基準点設置にかかる時間を大幅に短縮でき、コストも削減できることになります。

※1  MADOCA -PPP(* Multi-GNSS Advanced Orbit and Clock Augmentation -Precise Point Positioning):
アジア・オセアニア地域でも利用可能な高精度な測位補強サービスを提供するために、国内外のGNSS監視局網の観測データに基づき測位衛星に起因する誤差を計算し、みちびきのL6信号により補正データ(精密軌道、精密時刻等)を送信します。ユーザはL6信号対応受信機を用いることで精密単独測位(PPP)方式の高精度測位を行うことができます。

※2 日本の測位衛星システム、準天頂衛星システムとも呼ばれる

 

本件に関するお問い合わせ先

国際航業株式会社 経営管理本部 広報部
E-mail:info-kkc@kk-grp.jp
TEL: 042-307-7200