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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.134 【WET】水環境の新しい評価手法~法制化への動き~

2016/08/01

コラム

【WET】水環境の新しい評価手法~法制化への動き~

営業本部 法人営業部 環境サービスグループ 黒田康平

【WET】生物を用いた水環境の管理手法(Whole Effluent Toxicity) 製造業の、特に環境部門にお勤めの方は皆さん既にご存知のことと思います。
また、WETをご存知でない方も、ミジンコやミカヅキモと聞くと、何だか学生時代を思い出すような、懐かしい気持ちになるのではないでしょうか?

WETとはミジンコ、メダカ、ミカヅキモ等の淡水生物を用いて排水の水質を評価する手法で、例えばその排水がミジンコの繁殖に悪影響を与えないか、といった観点で評価をするものです。

現在、日本国内では40,000項目を超える化学物質の使用があると言われていますが、排水規制があるのは30項目程です。「鉛」「カドミウム」「ベンゼン」といった現行の個別物質ごとの規制を補う意味で、この手法の必要性が指摘されています。

各企業におかれましても、事業所から出る排水の管理強化のために自主的にWET試験を行い、その結果を公表する企業も出て来ています。
また、例えば地域住民の方に「鉛が0.01mg/L以下でした」と伝えるより、「ミジンコに悪い影響を与えておりません」と伝える方が安心感を得られやすいということで、企業と地域住民とのリスクコミュニケーションのツールとしての活用も提案されています。

法規制に向けては、7年程前から環境省により検討が行われています。当初の予定では2015年度までが検討期間で、 2016年度以降に法規制を導入する予定でしたが、今年度も検討が継続して行われている状況です。

今年度は先日8月22日に、すでに第4回目となる検討委員会が行われており、環境省は例年になく、非常に早い動きをとっています。また、検討委員には民間企業の業界団体(経団連、製紙連合会、化学工業協会)からの参加も加わり、環境省として事業者の意見も広く聞いた上で、検討を何とか前に進めたいという気持ちが感じられます。

ただし、法律で規制をするには、まだ多くの解決すべき課題が指摘されているのも事実です。生物を用いた試験結果の信頼性をどう確保するか、既に規制のある海外の情報を精査する必要があるのではないか、事業所排水ではなく下水や河川で規制をすべきではないのか、などの意見があります。
今年度の検討委員会は傍聴が可能(人数制限有)となっておりますので、私も参加しておりますが、まだまだ議論は続きそうです。

8月22日の第4回検討委員会では、2018年度までの検討スケジュールが示されましたが、法規制がされるのか、いつされるのか、どのような内容になるのか、現時点では明確ではありません。
しかしながら、検討委員のある先生からは、より環境対応を強化したい企業や、水資源に対する意識・関心の高い企業や事業所からの相談が続けて寄せられたという話も出ており、企業による自主的な取組は少しずつ進んでいくものと考えられます。

WETに関する情報は当社ホームページでもご紹介しております↓↓
https://biz-kkc.lmsg.jp/p/FPeA
https://biz-kkc.lmsg.jp/p/FPeC

担当は、営業本部法人営業部環境サービスグループ 黒田康平でした。