English

MIRAIT ONE GROUP

2021/06/04

リリース

「衛星SAR変位解析技術」を利用し、コンゴ民主共和国ニーラゴンゴ火山噴火に伴う山体変動を検出

 

2021年6月4日

国際航業は、GPS/GNSS測位、定点カメラ画像解析、航空レーザ測量、SAR 解析、AIなどの最先端技術を組み合わせ、社会課題を解決するための各種計測監視サービス(マルチ・モニタリングサービス)を提供しています。このたび、コア技術の1つである衛星SAR変位解析技術を利用し、コンゴ民主共和国ニーラゴンゴ火山噴火に伴う山体変動を捉えました。
※SAR:合成開口レーダ。マイクロ波を地面に照射し、反射した電波の強さや位相から地表を観測するセンサ

コンゴ民主共和国東部のニーラゴンゴ山(Mount Nyiragongo)では、現地時間5月22日夜に大規模な噴火が発生しました。ニーラゴンゴ山は、1975年と2002年にも大規模な噴火が観測されている活発な火山です。ニーラゴンゴ山はアフリカ大地溝帯に位置しています。大地溝帯はアフリカ大陸東部を南北に貫く幅35~100km、総延長7,000kmにもおよび、アフリカプレートが分裂し、新しいプレート境界が成長しているとも考えられています。拡大しつつある地溝帯では地下深部からの物質の供給が盛んであると考えられ、多くの活火山が分布しています。アフリカ大地溝帯のような地球上で最も活動的な場所で起こるダイナミックな現象が、地球環境にどのような影響を与えるのかが最近注目されています。

 


解析範囲位置図


ニーラゴンゴ火山位置図

当社では、欧州宇宙機関(European Space Agency)によって運用されている合成開口レーダ(SAR)衛星であるSentinel-1衛星が観測したSARデータを利用して、噴火に伴う広域の地殻変動を把握するため干渉SAR解析を行い、噴火前後の地殻変動量を検出しました。

「干渉SAR解析から得られた地殻変動」図を見ますと、北行軌道と南行軌道それぞれで、ニーラゴンゴ山の火口から10kmほどの街ゴマを中心として、東西に二つの目玉のような縞模様が見えます。
北行軌道(衛星が南から北へ移動するときに観測する軌道)では、地盤が衛星から東に遠ざかる変動と、衛星に西に近づく変動になります。南行軌道(衛星が北から南へ移動するときに観測する軌道)では地盤が東に衛星に近づく変動と、西に衛星から遠ざかる変動が見えます。
虹色が一周期で2.8㎝の変動を意味します。沢山の縞模様が密になっていることから非常に大きな変動があったことがわかります。

使用したデータの観測時間(現地時間)
衛星:Sentinel-1
【北行軌道】
噴火前:5月19日 18:20
噴火後:5月25日 18:20
【南行軌道】
噴火前:5月21日 5:44
噴火後:5月27日 5:44

 

「干渉SAR解析から得られた地殻変動図」

 


2021/5/19と2021/5/25の干渉SAR解析結果(北行軌道)


2021/5/21と2021/5/27の干渉SAR解析結果(南行軌道)

一つの軌道からは、衛星に近づく動きであるか、遠ざかる動きであるかしかわかりません。二つの軌道の解析結果から2.5次元解析を実施することで、鉛直方向の変位と東西方向の変位をそれぞれ算出できます。
解析結果から、今回の噴火ではゴマの街を境にして、東西へ離れていく動きと隆起する変動、中央では沈下する動きが観測されました。

 


2.5次元解析結果(上下方向変位)


2.5次元解析結果(東西方向変位)


東西断面の地殻変動(200倍に拡大)

ポイント
① 衛星SARの2.5次元解析により、鉛直方向の変位と東西方向の変位をそれぞれ算出できます。
② 衛星SARの2.5次元解析は、火山噴火に伴う山体変動だけでなく、ダム等の構造物やトンネル工事等に伴う地表の変位モニタリングにも有効な技術です。
③ 当社は、空間情報技術である衛星SARの高度な解析を自社で実施できることに加え、国土建設・環境保全・防災・インフラ管理などの専門技術者によるコンサルティングも可能です。

国際航業の「マルチ・モニタリングサービス」は、構造物、工事区間などの局所から地盤沈下、火山変動などの広域まで効率的かつ高度な変位監視ソリューションを提供しています。

<本件に関するお問い合わせ先>
国際航業株式会社 企画本部 広報部
E-mail: info-kkc@kk-grp.jp TEL: 042-307-7200