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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.185 土砂災害のリスクをリアルタイムで評価します「土砂災害危険度判定システム」

2021/01/01

コラム

土砂災害のリスクをリアルタイムで評価します「土砂災害危険度判定システム」

防災環境事業部防災ソリューション部 町永千宙

近年、猛烈な台風やゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な雨による土砂災害が発生しています。過去数年では、令和2年7月豪雨(熊本豪雨)、令和元年東日本台風(台風19号)、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、平成29年7月九州北部豪雨と毎年大きな被害を発生させています。

(令和2年7月豪雨発災後の熊本県葦北郡の空中写真:国際航業株式会社)

特に、上記に挙げた平成30年西日本豪雨、平成29年九州北部豪雨では、線状降水帯と呼ばれる連続した積乱雲群による局所的で連続した降雨が土砂災害の大きな要因として挙げられます。

こうした土砂災害から身を守るためには、「どこから」「いつ」避難をするのかが重要です。

「どこから」については、土砂災害による被害が発生するおそれのある場所を都道府県が「土砂災害警戒区域」として指定しており、こうした場所では大雨によって土石流や崖崩れが発生するおそれがあるため、避難等が必要な場所とされており、市町村のハザードマップなどで公開されています。

「いつ」については、気象庁が大雨による土砂災害発生の危険度の高まりを1kmメッシュごとに色分けして示す情報を「大雨警報(土砂災害)の危険度分布」として提供しています。このメッシュ情報は過去の降雨と災害の履歴から統計的手法によって作成されています。

上記の情報だけでは危険度が地形・地質を考慮していないため、実際にメッシュ内のどの土砂災害警戒区域がより危険なのか、土砂災害警戒区域以外でも危険な場所があるのかが分かりません。
こうした詳細な危険度判定を可能とするため、「土砂災害危険度判定システム」を新規開発いたしました。

「土砂災害危険度判定システム」は、降雨を起因とする土砂災害の危険度をリアルタイムで判定するシステムです。

本システムの特徴は、
①地形・地質の物理モデルを用いた計算
→斜面崩壊の危険度をリアルタイムで評価します。気象庁の判定モデルで反映していない、地形・地質の要素を含めた物理モデルを用いており、経験したことのない降雨でも評価可能であることが長所です。

②詳細メッシュによる判定
→気象庁の判定は1kmメッシュで行っているのに対し、本システムでは最小10mメッシュ単位で計算可能です。そのため、どこが危険なのかピンポイントで把握することが可能です。

提供イメージとしては、下記のような地図に警戒エリアを色付するものや、物件毎に危険度の表とアラートを組み合わせたものなど、用途に応じて表示方法をカスタマイズし、ご提供することが可能です。

実績として、公共団体(県)やインフラ系企業に導入させていただいております。
斜面の上や山沿いに事業所や管理物件、施設等をお持ちの企業様はこのようなシステムをお使い頂くことで、従業員様やお客様の早期避難・影響回避に繋がるのでないでしょうか。

詳細ページはこちら

担当は、防災環境事業部 防災ソリューション部 町永千宙 でした。