English

MIRAIT ONE GROUP

気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.184 水リスク -その対応と取組

2020/12/01

コラム

水リスク -その対応と取組

公共コンサルタント事業部環境保全部 岡本 憲一

2020年最後のメルマガは、水リスクについてです。

2020年7月3日、梅雨前線による雨が、熊本県南部に降り出しました。この梅雨前線は、その後、約4週間にもわたって停滞し、各地に大きな被害をもたらす豪雨の始まりでした
この梅雨前線の停滞は、その期間の長さも特異なものでしたが、それだけにとどまらず、九州の球磨川、筑後川、岐阜の飛騨川、中国地方の江の川、東北地方の最上川といった、列島規模の広範囲にわたり、河川流域で深刻な被害を出したことは、多くの方の記憶に新しいものと思います。

近年、一つの地域にとどまらない、新たな気候フェーズに入ったことを実感させる水害が、毎年のように発生しています。世界に目を向けても、中国長江での洪水や干ばつ後のサイクロンで大発生したとも言われるサバクトビバッタの大発生など、激しい気象が関与する水リスクの顕在化としての災害が頻発しています。

この様な状況の中、国内・国外で操業を続ける、若しくはグローバルなサプライチェーンにより生産活動が支えられている企業にとって、直接的な操業リスクに結びつく水リスクが注目されるようになっています。
水リスクは、いつでも起こり得る物理的リスクとして、企業が事業を継続していく上で、大きな懸念事項となっているのです。

そのうえ近年においては、ESG(E環境、S社会、G企業統治への企業の取組)の視点を組み入れる機関投資家により、水リスクへの十分な対応を行っていない企業から、資金が引き上げられるというリスクも高まっています。
いわば、物理的に被害を及ぼす水リスクのみならず、企業評価の側面のリスクとでもいうべき水リスクについても、十分配慮しなければならなくなっているのです。

また、ESG評価が高い企業は、株式リスク(変動)が小さくなる傾向がみられるとの報告や、ESG評価と財務業績向上との関連を示す多くの論文が発表されているとの報告もあり、企業自身にとってもESGに対する取組が重要であることも認識されつつあります。

<参照資料>
「ESG投資とは」(経済産業省HPより)

「ESG投資の動向と課題」(財務省)より

このように、今や水リスク対策を含む、ESGに対する取組は企業活動にとって無視できないものとなっており、その取組としてリスク分析・対応を行い、対応状況を公表することは必要不可欠なものになりつつあります。

しかしながら、水リスクへの対応が大事であるといっても、やみくもに水の節約、洪水対策等を検討しても、大きな効果は期待できず、外部への十分な説得性を備えることも難しいものと思われます。
水リスクへの対応を考えるにあたっては、まずは、自社のどの部分に水が関わる課題があるのかを把握することが重要です。
水への関わり方・水環境からの影響の受け方によって対策も異なります。また、水リスクを正しく把握するための評価方法についても、適切なものを選択することが重要となります。

弊社では、こういった水リスクに関する課題把握、対応方針の検討などのサポートを行っております。水リスク対策を検討し、対外的に積極的に公表をしていきたいとお考えのご担当者様は是非、お気軽に営業担当までご相談頂ければと思います。

担当は、公共コンサルタント事業部環境保全部 岡本憲一でした。