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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.142 ご注意下さい!アスベスト含有建築用仕上塗材への対応

2017/04/01

コラム

ご注意下さい!アスベスト含有建築用仕上塗材への対応

技術サービス本部 環境保全部 環境ソリューショングループ 衛藤正二

昨年4月に国立研究開発法人建築研究所と、日本建築仕上材工業会が共同研究をとりまとめた「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉塵飛散防止処理技術指針」が公表されました。公表された技術指針の影響によって、建築物の内外壁に施工されているアスベストを含有する建築用仕上塗材(以下、仕上塗材(しあげぬりざい)という)が最も注目された1年間であったと思います。

仕上塗材は、建築物の内外壁仕上げに用いられており、アスベスト含有率は高くないものの、塗膜のひび割れや施工時のダレを防止する目的でアスベストを添加した製品が過去に製造、使用されていました。
仕上塗材は吹付材と称されていた時期があるため、耐火被覆などで使用されている吹付けアスベストやアスベスト含有吹付けロックウールと混同されやすいですが、内外装の表面仕上材に使用される塗装材料または左官材料のことです。主材中に含まれるアスベスト繊維は合成樹脂やセメントなどの結合材によって固められており、仕上塗材自体の塗膜が健全な状態ではアスベストが飛散するおそれがないものとされています。

元々、1970年代から1980年代に建てられた既存建築物においては、吹付け材、保温材、耐火被覆材、断熱材、成形板等のアスベスト含有建材が大量に使用されている状況にあります。
よって、建築基準法、労働安全衛生法、石綿障害予防規則、大気汚染防止法などで使用時や解体工事時のアスベスト含有建材からの飛散防止措置の規定がなされ、解体されるアスベスト含有建材の種類等で作業レベルが決められています。
一方で、解体される仕上塗材の除去工事における作業レベル、養生方法、取扱い方法等は明確ではありませんでした。
そこで技術指針では、アスベストの粉じん量を少なくすることを目的とし、建築物の改修・解体工事の仕上塗材の処理工法について、「負圧隔離による工法」、「隔離工法によらない工法」、「石綿除去工事に該当しない工法」の3つに大別して、その選定方法を示しています。

https://biz-kkc.lmsg.jp/p/kcC3h

技術指針の中では、仕上塗材の事前調査についても触れられており、解体工事前のアスベスト調査にも大きく影響してきています。
先日、伺った外資系企業の工場では、アスベスト分析検体数がかなり増えたことによって、アスベスト調査費用が増額となったものの、仕上塗材までしっかり調査し現状把握されているとのことでした。
今後、解体工事およびアスベスト調査を計画されるお客様については、調査費用のコスト削減だけではなく、その目的、背景、後工程等を把握した上での調査計画を立案することが必要になります。

対応にお悩みのことがあれば是非ご相談下さい。
担当は、技術サービス本部 環境保全部 環境ソリューショングループ 衛藤正二でした。