English

MIRAIT ONE GROUP

不動産情報 ブログ

連載コラム「自然災害、備えていますか?」第2回

2023/01/19

コラム

連載コラム「自然災害、備えていますか?」第2回

みなさまの会社では、自然災害に対してどのような対策をとっていますか。
昨今、毎年のように発生する自然災害に対し、多くの企業が事業継続上のリスクと捉えBCP(事業継続計画)の策定に注力しています。また、社会動向としては、ESG投資やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言(※1)への賛同の機運が高まり、投融資先の選定や評価、商取引の判断においても、自然災害による物理的リスク(※2)の検証・開示が求められつつあり、自然災害対策は事業と財務の両面で看過できない課題となっています。
国際航業は、地理空間情報コンサルタントと防災コンサルタントとしての業務を通して、多くの事業者様より災害リスクマネジメントのご相談を頂いています。本コラムは「自然災害、備えていますか?」と題し、弊社が携わった数々の取組みから、皆様にもお取組み頂きやすい施策を連載でご紹介して参ります。

※1:TCFDは2015年12月に金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために設立され、2017年6月に気候変動要因に関する適切な投資判断を促すための一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な情報開示を促す提言を公表しました。この提言への支持を表明する企業・機関は世界中で増加しており、2020年10月末時点で1500を超える企業や金融機関、公的機関等が支持を表明しています。
国際航業はTCFDコンソーシアムに参画しており、直近では、三菱UFJ信託銀行との物理リスク開示に繋がるソリューション開発の協業など、情報公開の支援を行っております。

※2:TCFDでは気候変動によるリスクと機会の開示が求められ、リスクは「移行リスク」と「物理的リスク」に分類されます。移行リスクは気候変動政策、規制動向や技術開発の変化によってもたらされるリスク、物理的リスクは豪雨や土砂災害等、気候変動による災害等により顕在化するリスクを指します。

第2回 既存水害対策の再検証

災害級豪雨の増加等を背景に、不動産を持つ事業者の間では管理施設の水害対策を見直す動きが広がっていますが、根拠となるハザードマップに次のような課題があり、多くの事業者が対策検討に苦労しています。

基準の異なる複数のハザードマップが存在

ハザードマップの浸水想定は近年、度々新しい基準が作成・公表されています。平成27年には水防法改正による「想定最大規模浸水想定(※3)」、令和3年には流域治水関連法改正による「多段階浸水想定(※4)」が公表、さらに近年各自治体が次々に内水氾濫、高潮等の浸水想定を新規に公表しております。
事業者には、いくつもの浸水想定を多角的に評価し、対策内容を判断する難度の高い検討が求められています。

更新時期が各公表元でバラバラ

ハザードマップは各公表元(国・自治体)が個々に運営している為、更新時期が統一されていません。
事業者によっては、管理施設に関わる災害リスクの変化を即座に把握する必要があり、ハザードマップの更新確認に苦労しているケースもございます。

浸水深さ1ランクが示す幅が大きい

国や行政が公開する水害ハザードマップの多くは、1ランクが示す幅が「浸水深さ0.5〜3.0m」のように大きく、擁壁工事や止水板設置を計画する際には、適切な対策高さの見通しが困難です。

水害対策アドバイザリ

国際航業では、事業者の不動産に関する水害対策アドバイザリを行っており、上述のような課題の解決を支援しています。
代表的な業務の1つであるレポーティングでは、対象不動産について、複数のハザードマップや地形条件等を多角的に調査し、調査レポートと共にお客様の業務に必要な提言を差し上げています。調査レポートでは、浸水深1cm単位で視覚化した浸水想定メッシュ図をご提供します。

ユースケースとして、ビル・マンション開発を営むお客様にご利用頂いています。お客様が行政のハザードマップを元に計画した全管理物件の水害対策計画を、国際航業が上述のような調査に基づき再評価いたしました。結果として、全体で数千万円の対策費を圧縮。お客様からも大変ご満足頂く業務となりました。

※3:「想定最大規模」の降雨規模は1年の間に発生する確率が 1/1000(0.1%)以下の降雨です。毎年の発生確率は小さいですが、規模の大きな降雨であることを示しています。
※4:「多段階の浸水想定図」は発生頻度が高い降雨規模の場合に想定される浸水範囲や浸水深を示します。河川毎に降雨規模1/10〜1/200の各降雨に対し整備しています。

おわりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ご紹介した内容が、皆様の業務における気付きやヒントに繋がれば幸いです。
次回は「自社拠点の被災を早期に把握」についてご紹介します。ご期待くださいませ。

国際航業では、日々、災害対策に関する動向調査や商品開発を行っております。
ご紹介した施策に関する詳細な説明や、災害対策に関するご相談がございましたら、下のお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

立地診断ソリューション

Earth Finder Plus不動産
Earth Finder Plus不動産は、不動産に特化したエリアマーケティング地図システムです。
地図上での物件管理はもちろん、多様な地理データで物件や市場を見える化。
確度の高い事業判断の為のデータ活用をサポートします。