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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.153 環境アセスメント制度と自主アセス

2018/03/01

コラム

環境アセスメント制度と自主アセス

技術サービス本部 環境保全部 環境グループ 鶴間亮一

今月は、環境アセスメント制度と自主アセスのススメについてです。
環境アセスメント制度をご存知でしょうか。
環境アセスメント制度とは、開発事業による環境への影響を防ぐため、事業者が環境保全について検討し、一般の方々や地方公共団体等からの意見を聞いて、よりよい事業計画としていくための制度です。

この制度はアメリカで制度化されて以来、世界各国で導入され、日本では1997年に環境影響評価法が制定されました(2011年に改正)。
この法律では、道路やダム等13種類の開発事業の中で、それぞれ制度の対象となる事業規模が定められています。
また、全ての都道府県とほとんどの政令指定都市には環境アセスメントに関する条例が制定されており、法律の対象にはならずとも条例の対象となる事業も多くあります。

この法律や条例に該当する事業を実施する場合は、現地調査や影響予測・評価、手続き等で2年半から3年程度の期間がかかってしまいますので、もし大規模な開発事業をご検討の場合は注意が必要です。

▽環境アセスメント制度のより詳細な情報はこちらから▽
環境アセスメント(環境影響評価)とはhttp://www.env.go.jp/policy/assess/1intro.html

さて、この法律や条例の対象とならない小規模の開発行為であっても、近年では自主的に環境アセスメントを実施する事例が増えてきています。
この自主的な環境アセスメントが、表題の「自主アセス」です。

これまで、小規模な開発行為においては、積極的な情報発信や環境保全への取り組みの周知等はあまり行われていませんでした。
しかし近年では、実際に開発行為がスタートすると、生活環境への影響や、周辺の自然環境への影響を懸念される地域住民の方も多く、特定のステークホルダーからの反応が想定されるケースもあります。

そこで、環境アセスメント制度を参考に、事業者が環境に関する調査や影響予測・評価を行い、専門家や地域の方々との意見交換を踏まえて事業計画を修正していくことで、地域の方々等とよりよい関係を構築しつつ、環境に配慮した開発行為を可能とするのが自主アセスです。
この取り組みは、事業者の社会的説明責任を果たすことにつながり、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとしても位置付けることができます。
すなわち、事業者の社会的評価の向上につながるものなのです。

自主アセスは、事業者によって様々な形態で行われています。調査や環境保全対策等は事業者が可能な範囲で地域の特性等を踏まえて実施していくものですが、以下の4つの要素を取り入れることが重要とされています。
環境配慮に関する検討を行い、その結果を公表する
環境影響評価に関する専門家が関与する
ステークホルダー等からの意見募集を行う
説明会や意見交換会、協議会などのコミュニケーションの場を設ける

当社では、法律や条例の環境影響評価の実績はもちろんのこと、自主アセスの支援実績もございます。また、環境影響評価に関する専門家とされる技術士が多数在籍するほか、環境アセスメント士や環境計量士、ビオトープ管理士といった様々な分野の専門家も在籍しています。
加えて、当社は一般社団法人日本環境アセスメント協会の正会員でもございますので、不明点があればお気軽に営業担当までご相談いただければと思います。

担当は環境保全部環境グループ 鶴間亮一でした。