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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.147 進化を続ける電気発熱法

2017/09/01

コラム

進化を続ける電気発熱法

技術サービス本部 法人営業部 第三営業グループ 黒田康平

今月は、昨年11月に本メルマガでご紹介した、粘土層に浸透したVOC汚染に対する新浄化手法である「電気発熱法」の、増え続けている【実績】についてご紹介致します。

まずは改めて、「電気発熱法」とは︖、です。

土壌・地下水汚染に対する新しい原位置浄化技術。
電極井戸を設置し、三相交流電圧(80~200V程度)により土自体を発熱(30~90℃)させ、土壌中有害物質の移動性や反応性を向上することで浄化を促進する。
対象はVOCや油等。
最大の特徴は、既存の原位置浄化技術では困難な粘土層の浄化を可能にした事。

5年程前から研究開発を進め、操業中の工場に適用頂き、揚水やガス吸引だけでなく、バイオ浄化や酸化剤とのハイブリッド浄化工法として実績を積んで参りました。
対応実績の一部について、概要を以下にご紹介します。

対象物質 対象層 土質 ハイブリッド工法 発熱期間 使用電力量
PCE[8.0mg/L] 飽和帯有機質粘土バイオ浄化5ヶ月31,000kWh
PCE[100mg/L<] 飽和帯砂質シルト過硫酸ナトリウム12ヶ月51,000kWh
PCE[0.2mg/L] 宙水層シルトガス吸引4ヶ月16,500kWh
PCE[50mg/L] 宙水層シルトガス吸引+揚水10ヶ月135,000kWh
TCE[0.8mg/L] 不飽和帯シルトガス吸引5ヶ月20,000kWh
ベンゼン[30mg/L] 不飽和帯ロームガス吸引6ヶ月34,000kWh

※ PCE:テトラクロロエチレン、TCE:トリクロロエチレン
※ 濃度[mg/L]は調査で確認された最大濃度

本工法の浄化メカニズムは、汚染物質の揮発を促進することだけではありません。
土壌温度を40~60℃に昇温し、粘土層中での有害物質の移動性を高めることで、併用する従来の浄化技術でより効率的に浄化・分解(ハイブリッド浄化)し、一層省電力・低負荷で粘性土汚染を浄化することを可能にしました。
また、既存浄化技術とのハイブリッドという点では、以下のような促進効果が得られております。
⇒ バイオ浄化 昇温速度を制御することで、もともと生息する微生物(デハロコッコイデス属細菌など)が温度馴化し、微生物分解速度が常温の数十倍にまで高ま る。
⇒ 化学分解 酸化剤を用いた浄化においては、土壌温度を50℃前後に維持することで、使用する薬剤量を1/5~1/10に減らしても同等の効果が得られる。

現在も複数の工場で稼働・適用しており、日々実績を積み・日々進化をし続けている電気発熱法 ですが、粘土層のVOC等汚染でお困りの場合は、良い解決策になるかもしれません。
お困りの際は是非ご相談を頂ければと思います。

電気発熱法の詳細やご利用シーンについての詳細は下記をご覧ください。
電気発熱法の詳細はこちらから

土壌汚染の浄化対策等についても掲載をしております。
土壌地下水汚染の浄化についてはこちらから
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担当は、技術サービス本部 法人営業部 第三営業グループ 黒田康平でした。