English

MIRAIT ONE GROUP

気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.138 【気候変動】パリ協定~トランプショック~適応策

2016/12/01

コラム

【気候変動】パリ協定~トランプショック~適応策

営業本部 法人営業部 環境サービスグループ 黒田康平

2015年12月、COP21において「パリ協定」が採択されて早1年が経ちました。
世界196の国と地域の全てが参加する歴史的な合意ということで大きな話題となり、その後10ヶ月という非常に短期間で条件を満たし(55カ国以上が批准し、GHG排出量の55%に達する)発効さたことからも、気候変動に対する世界的な関心・危機感の高さが窺えます(11月4日発効、日本は少し遅れて11月8日に批准)。

そして、11月7日~18日までモロッコのマラケシュでCOP22および「パリ協定」の 第1回締約国会合(CMA1)などが開催されました。
事前のニュースでは、日本の批准が遅れたためにCMA1に正式参加出来ず、日本抜きでルール作りが進んでしまう、といった報道がされておりました。
しかし実際には「パリ協定」のルールブック策定に向けたスケジュールの確認はなされましたが、具体的なルールの中身についての協議はなかったようです。
CMA1においても締約国とそれ以外で、席順等も含め扱いの違いはなかったとの報告がされており、批准遅れによる大きな影響はなかったと言えます。

COP22開催期間中の11月8日に行われた米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利が伝えられました。トランプ氏は選挙期間中から、オバマ政権の温暖化対策を全否定する発言を繰り返していたことから、トランプ政権後の米国環境政策について議論するワークショップが急遽開催されたり、NGOが「We are still in(離脱はさせない)」という幕を広げてデモを行ったりと、「トランプショック」と言うべき反応が見られたようです。

トランプ政権となった場合の米国環境政策について、以下の3つの理由から、パリ協定からは離脱しないものの米国の気候変動対策への取組が大幅に後退する可能性が高いと考えられます。

パリ協定には強制力が無い
トランプ氏は炭鉱開発を推進するが、これは脱炭素、低炭素と矛盾する
次期のEPA(米国環境保護庁)長官に、気候変動に懐疑的な反環境規制派のオクラホマ州のスコット・プリュット司法長官が指名される見込み

ただし、トランプ氏が何をやるかは不明な点が多く、冷静に見守るしかないとの見方が大勢を占めています。

国内においても、「パリ協定」やSDGs、ESG投資といった言葉が注目される中、気候変動にどう対応するか、検討し実践されている企業も多いと思います。

特に「緩和」に対しては、既に多くの企業が、製品の製造時や出荷後の消費者による使用時のCO2排出量削減などの対応を取っています。

一方「適応」に対する取組をしている企業は少ないのではないでしょうか。
UNFCCC(気候変動枠組条約)事務局の調査では、「適応」に取組む企業の7割が欧米企業で日本は2%(2社)という結果が示されています。
今後は、気候変動リスク(またはチャンス)へのより積極的な「適応」が求められます。

当社では、気候変動の「適応」に向けた取組を積極的におこなっております。
環境省が開設した「気候変動適応情報プラットフォーム」に今月追加された「事業者の適応取組事例」に、当社の取組事例が取り上げられております。

また、今月16日(金)に行われた中環審の気候変動影響評価等小委員会で取組の紹介と意見を述べる場を頂き、委員の方々との意見交換をおこないました。

環境省ポータルサイト「気候変動適応情報プラットフォーム」
https://biz-kkc.lmsg.jp/p/abWcT

環境省 中環審小委員会開催案内
https://biz-kkc.lmsg.jp/p/abWcU

今後とも、皆様と意見交換をさせて頂きながら、気候変動の緩和・適応に向けた取組を積極的におこなっていければと考えています。

担当は、営業本部法人営業部環境サービスグループ 黒田康平でした。