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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.149 第23回 地下水・土壌汚染に関する研究集会 参加報告

2017/11/01

コラム

第23回 地下水・土壌汚染に関する研究集会 参加報告

技術サービス本部 法人営業部 第三営業グループ 黒田康平

今月のメルマガでは、去る11月9日〜12日にかけて沖縄・那覇で開催されました「第23回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会」への参加報告として、最近のトレンドをお伝えしたいと思います。

まず、この研究集会は1991年4月に第1回が開催されて以来、毎年1回開催されており、今回初めて沖縄で開催されました。
この研究集会は各社がこれまでの研究や取組事例を発表する場であり、お客様のトレンドや社会動向を知る上で非常に貴重な場となっております。
今回は、例年よりも多い190件の研究発表(うち、当社が関わるものは7件)がなされた他、分析機器や浄化技術・処理技術に関する企業展⽰会が併設され、⼤変な盛況でした。

今年の研究発表のトレンドとして当社が着目したのは以下の2点です。
① 1,4-ジオキサンの挙動や浄化手法に関する研究
② 自然由来を含む重⾦属の溶出特性に関する研究

① 1,4-ジオキサンは既に土壌環境基準及び地下水環境基準に設定されています。
クロロエチレンと同じく今年度内に土対法項目への追加検討がなされましたが、地下水に溶出しやすい特性などがあり、現行の土壌ガス調査では捉えられないために追加が見送られました。
こうしたことを踏まえ、1,4-ジオキサンによる汚染の実態に関する研究や調査手法、地下水浄化技術に関する研究が活発に行われていました。
当社も1,4-ジオキサンに関する研究を3編発表致しました。

② 自然由来等重⾦属の地下水への溶出特性を知るための、カラム試験やシリアルバッチ試験(連続溶出試験)に関する研究が多かったのも印象的でした。
これが⽰す意味としては、土壌汚染自体を悪と捉えず、それが実際に地下水汚染を発生させ、その結果として周辺住⺠の健康被害を生じうるのか、というリスクベースでの考え方が浸透してきた結果だと考えられます。

参考までに当社が関わる研究発表を以下に列挙致します。発表資料をご覧になりたい方はご連絡を頂ければと思います。

1,4ジオキサンによる土壌・地下水の汚染状況に関する考察(日高レイ・中島誠)
1,4-ジオキサンの現場簡易土壌溶出試験方法に関する検討(同上)
水との接触に伴う岩⽯中の砒素、セレンの溶出量変化の検討(山田優子・中島誠)
VOC汚染サイトにおける電気発熱による原位置浄化対策への影響について【その5】
(佐藤徹朗・瀬野光太・島津製作所との共同研究)※1,4-ジオキサンの浄化を含む
Sustainable Remediationの社会実装に向けた取り組み(前川統⼀郎・産総研などとの共同研究)
ハイアラーキカル・デシジョン・モデリング法に基づくサステナブル・レメディエーション意思決定ツールの検討(中島誠・産総研などとの共同研究)
サステイナブル・レメディエーション(SR)の取り組みと豪州での実例紹介
(佐藤徹朗・土壌環境センターにおける部会としての研究)

これらの研究開発や日々の業務を通じて専門技術を磨き、社会動向を把握・形成し、皆様のお困りごとに最適なご提案が出来るよう準備をして参りたいと考えております。

担当は、首都圏事業部法人第三営業グループ 黒田康平でした。