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気候変動政策ブログ・環境通信

環境通信 Vol.136 【電気発熱法】~粘土層の完全浄化を可能に!~

2016/10/01

コラム

【電気発熱法】~粘土層の完全浄化を可能に!~

営業本部 法人営業部 環境サービスグループ 黒田康平

今月は、当社セミナーやイベントでもお客様からの注目度が高く、反響が大きかった「電気発熱法」をご紹介させて頂きます。

土壌汚染の新しい原位置浄化技術である電気発熱法は、地盤に電極井戸を挿入し、三相交流電圧(80~200V程度)をかけて土壌自体を発熱(40~80℃)させ、土壌中の有害物質の移動性を向上させることにより浄化を促進する技術で、(株)島津製作所と共同開発を進めています。

VOCや油などが浄化対象となりますが 最大の特徴は、既存の原位置浄化技術では浄化が困難であった粘土層の浄化を可能にした点にあります。

既存技術である微生物浄化やフェントン法(過酸化水素水の注入)、鉄粉等の注入では、薬剤が粘土層に入り込まないために浄化が困難であり、大規模な掘削工事等が適用できない操業中の工場などでは完全浄化を諦めて、汚染の拡散を防止するための揚水を継続することしかできませんでした。
しかし、電気発熱法を適用すれば、粘土層に入り込んだ有害物質についても原位置浄化が可能となります。
粘土層は砂礫層などに比べ電気抵抗が低く電流が流れやすい性質があり、以下に示す昇温による効果が得られやすいためです。

粘土粒子間に強く吸着しているVOC等の地下水への溶出や気化の促進
温度上昇に伴うガス圧の上昇、水の粘性低下、土壌粒子間の体積膨張等による移動性の向上
温度上昇に伴う微生物活性や菌叢の変化による微生物分解や化学反応の促進
これまでにも、ヒーターやスチームを用いて地中の温度を上げて浄化する方法はありましたが、電気代や昇温ムラがあり粘土層が温まらない等の課題のため、普及しておりませんでした。電気発熱法はこれらの課題も解決しております。

国内においても、「パリ協定」やSDGs、ESG投資といった言葉が注目される中、気候変動にどう対応するか、検討し実践されている企業も多いと思います。

特に「緩和」に対しては、既に多くの企業が、製品の製造時や出荷後の消費者による使用時のCO2排出量削減などの対応を取っています。

電気発熱法の概要やご利用シーンについてホームページに掲載しております。
https://biz-kkc.lmsg.jp/p/7GBsY

弊社では、気候変動の「適応」に向けた取組を積極的におこなっております。
環境省が開設した「気候変動適応情報プラットフォーム」に今月追加された「事業者の適応取組事例」に、弊社の取組事例が取り上げられております。

また、既存の原位置浄化技術の課題や、操業中の工場への電気発熱法適用事例について、近日中にホームページに掲載予定です。掲載しましたら、またご案内をさせて頂きます。
現在も複数の工場で、電気発熱法の本施工や、本施工に向けた事前のパイロット試験(本法を適用できるか、どの程度の期間で浄化が可能かを判断する小規模な試験施工)が稼働中です。
粘土層のVOC等汚染でお困りの際は是非ご相談ください。

担当は、営業本部法人営業部環境サービスグループ 黒田康平でした。